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静岡経済 ヒットの系譜

シャンソン化粧品 「十六茶」

◆お茶に発想と技術

シャンソン化粧品が1985年から販売しているティーパックの十六茶=静岡市駿河区で

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 スーパーやコンビニの飲料売り場に並ぶさまざまな種類のブレンド茶。三十年ほど前、この市場に火を付けたのが、シャンソン化粧品(静岡市駿河区)だ。ティーパックタイプの「十六茶」を一九八五(昭和六十)年に発売。その後、アサヒビール(現アサヒ飲料)との提携により、ブレンド茶は広く知られるようになった。

 健康茶ブームの兆しが見えた八〇年代前半。美容と健康を追求してきたシャンソンは、事業部を立ち上げ新商品の開発に取り組んでいた。テーマに掲げたのは「子どもから大人まで一緒に飲める、おいしい健康茶」。化粧品会社ならではの発想を取り込んだ。

 子会社のシャンソンティーワールドの飯田治社長は「何十種類もの原料を混ぜてつくるのが化粧品。四六年の創業から化粧品をつくり続けてきた歴史があり、ブレンドすることには確かな技術があった」と明かす。

 美肌効果があって化粧品に使われるハトムギを中心に、多種の素材を混ぜ合わせることで、ブレンド茶という新しいお茶を生み出した。

 「十六」という数字は、中国医学を基にしている。六臓六腑(ろっぷ)の健康を保ち、甘みや苦み、酸味、塩味の四つの味覚をバランス良く調整するという意味。「六+六+四=十六」という発想だ。

 当時、開発に携わった鈴木卓也部長は「何度も静岡薬科大(現・静岡県立大薬学部)の図書館に通った。六千点の生薬が掲載されている『中薬大辞典』で調べては、素材の効果的な配合を試してみるという繰り返しだった」と振り返るように、配合にこだわった。

アサヒ飲料が販売しているペットボトルの十六茶=静岡市駿河区で

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 訪問販売を始めると、計画を上回る大ヒットに。ここにアサヒビールが声をかけた。

 当時の飲料業界では、既に伊藤園やサントリーが緑茶やウーロン茶を定番商品としていた。アサヒはお茶の「第三極」を狙った。シャンソンには「十六茶」のブランドをより広く訴求したい思いがあり、両社の思惑が一致した。

 九三年にアサヒが缶の十六茶を発売。シャンソンはアサヒビールに商標を貸す形で、缶やペットボトルの商品を製造してきた。発売直後に他社が缶のブレンド茶に追随し、商品が乱発されたことで、市場全体の販売が落ち込んでいった。

 その中で、販売のV字回復のてこになったのは、「六臓六腑四味覚」という中国医学に基づいたコンセプトを再確認したことだった。それ以来、「開発時の理念をしっかりとお客さんに伝えるようになった」と鈴木部長は言う。

 現在、ティーパックの十六茶は、台湾やシンガポールにも輸出している。品質管理を徹底するため、飯田社長らが中国やアジアで原料を栽培している畑を回り、素材の安全性や品質を自分の目で確認する徹底ぶりだ。

 ブレンド茶という新たな市場を切り開いたシャンソン。十六茶の発売から三十年近くたった今でも、女性や小さい子どもが安心して飲めるお茶として親しまれている。開発当初の理念を守り、品質にこだわり続けている信念が、ロングセラーを支えている。

(白山泉、写真も)

 

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