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浜松海の星高校50周年 一粒の麦が地に落ちて

演劇コース 独創性や表現力を養う

来月の舞台を前に、練習にはげむ「演劇コース」の生徒たち=浜松海の星高校で

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 二〇〇一年四月、海の星高校に「演劇コース」が設置された。同校演劇部の全国レベルでの活躍を踏まえ、劇表現や踊りなどを専門的に学ぶコースとして、県内初の開設となった。現在では一−三年計四十七人が在籍し、独創性や表現力を養う広義のコミュニケーション能力の向上を目指している。

 演劇コース長の川口多加教諭(39)は「演劇とは、演技を通して自分と役柄との相違点を感じ取り、相手役の感情も受け止めながら、観客に気持ちを発信すること」と語る。思いやりのある心を育て、自分と他者の命の尊さを理解する−という同校の教育目標にもつながるという。また川口教諭と共に同コースの顧問を務める杉山恵講師(25)は「演劇では自分が全体のどの位置にいるのか、周りからどう見られているのか−を、常に意識することが重要。これは日ごろのコミュニケーションにも言えること」と言う。

 こうした指導者の考えを踏まえ、同コースでは未経験者を含む全員が、発声や身体表現の基礎練習をみっちり課される。日舞を通して、舞台での立ち居振る舞いや歩き方、着付け、作法も身につける。また本番での配役とは別の役を、あえて演じる練習も実践する。

 来月の舞台で主役のマリアを演じる平野裕理(16)=二年=は、練習では男の羊飼い役だ。「舞台全体を見渡せる役をやったことで、緊張感から解放され、観客の視線を意識することの大切さを実感できました」と、手応えを話す。

 演劇はテレビドラマなどと異なり、役柄と性別や世代が違うことは当たり前。時代や国も関係なく、生徒たちには大きな壁への挑戦だ。二人の顧問は「本物に見せることが重要なのではなく、つくり手と客の気持ちが動くことが大切。大げさに演じるのではなく、正しい言葉遣いで自分の意思を表現すべきです」と、口をそろえる。クラス委員の原明日香(17)と戸田有紀(17)=共に二年=は「演じるうちに、感情面で自分と役の共通点が見つかってきます」という。

 同コースのメーンイベントは、二年次の十二月に行う「クリスマス・ファンタジア」と、三年間の集大成となる「卒業公演」。卒業公演はプロデュースから宣伝まで、生徒たちの手づくり。昨年の公演で主役を演じ、現在は東京の専門学校でミュージカルを学ぶ安藤有希(19)は「仲間との結束が強まったことが一番の財産。自分に自信が持てるようになりました」と振り返る。

 同校では、同コースを「将来舞台で活躍する人材を育成することを前提にした“予備校”ではない」としている。「演劇で一番重要なのは、自己表現と、相手を認めること」(川口教諭)。生徒たちは今日も、海の星のステージで練習に励んでいる。(文中敬称略)

 

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