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西遠女子学園100周年 忘るるなかれ若き日を

プロローグ

 うららかな春の日差しを浴びて、紺色のセーラー服が光る。襟には黄色のライン。はらはらと散る桜の花びらの中、そっと足を止め、生徒たちは創立者岡本巌氏(一八六七−一九四二年)の胸像に頭を下げる。

「変わってないわね…」。懐かしい空気を楽しむように、榎谷光子さん(63)=高十四回、浜松市上島七=が大きく息を吸った。義母の榎谷あやさん(90)=高女二十一回、同市鴨江=も目を細める。「西遠で過ごした時間が一番楽しく、輝いていましたね」

 木のイスが並ぶ古い講堂。光子さんは、ここで週二回開かれる合同朝会が楽しみだった。「(岡本)富郎先生のお話が楽しみで。お話が上手なだけでなく、胸にぐっと響いたり、すっとしみ込んだり。今でも思い出すと涙が出るくらい…」。あやさんがうなずく。

 行儀作法を学ぶ「生活会館(家庭寮)」も西遠女子学園の伝統。「お座布団や本膳の出し方など、お作法をしっかり教えていただきましたね。みんな一緒だから楽しくて」とあやさんがほほ笑むと、「いっしょね」と光子さん。娘の落合美紀さん(39)=高三十七回、同市高丘東=も「入学した時から入寮がとても楽しみで。お料理、お作法が身に付いたのはもちろん、友達と一緒に学んだ時間はすてきな思い出です」と笑う。

 「女の子が生まれたら西遠。そう決めていました。勉強だけじゃない、お作法から教養や一般常識、身に付くものが違うと感じていたから」。光子さんが力を込めると、美紀さんもにっこり。「この子は男の子っぽいから、西遠に入ってくれるかな、と心配でしたけど」。孫の歩美さん(13)=中学二年、同市高丘東=がはにかんだように笑った。

 「友だちがたくさんできて、とても楽しい」。歩美さんがぱっと笑う。「そうね。一生のお友達ができたのも、ここ西遠でしたね」。桜の花を見上げてしみじみと話すあやさんに、光子さんと美紀さんも深くうなずいた。

 「西遠は、一生の宝物を見つけた場所ですね」(文中敬称略)

 

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