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掛川西高100周年 天守の杜に

第3部 人物史編 交通研究の専門家

最適ルール探る 膨大なデータ解析

交通心理学の研究を重ねる松浦常夫さん=千葉県柏市の警察庁科学警察研究所で

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 千葉県柏市の郊外に建つ警察庁科学警察研究所。ここは犯罪科学に関する総合的な研究を行う機関で、科学捜査についての研究・実験と、これらを応用する鑑定・検査のほか、犯罪の防止、少年の非行防止、交通事故防止や交通警察についての研究・実験にも取り組んでいる。

 白骨化した死体の復顔鑑定、DNA分析からの個人識別、偽造通貨の鑑定、サリンなど有毒ガスや微細物・毒劇物の研究、犯罪に関する音解析、弾丸鑑定、犯罪捜査に要する心理学研究、交通環境と運転特性に関する研究など、業務対象は広範で、専門知識・技術を持つ約百人の研究員が各分野の研究を行い、共同研究や学会参加などを通じ、内外の研究者とも学術交流を深める。

 松浦常夫(昭46卒)は、交通部交通安全研究室の主任研究官。研究室は、松浦ら心理学者とエンジニアで構成され、自動車交通行政を研究面で支援するのが主な仕事だ。身近なところでは、運転適性検査や運転免許試験問題の開発・検討、自動車教習所での教習内容の研究も含まれる。

 松浦は「日本は人口に対する車保有台数が世界トップクラスなのに、交通心理学の研究者は国内に五十人もいない。研究分野としては非常に層が薄い」と現状を語る。四年に一度開かれる国際交通心理学会が、今年九月、スイス・ベルンであり、日本からは松浦ら三十人が出席した。

 「人口が二十万人程度のアイスランドでも二人の研究者が学会に出席し、関心を高めている。ヨーロッパでは、EU加盟諸国が共通した免許制度をつくろうと研究が盛んで、職人気質の学者らが大学と連携して幅広い研究に取り組んでいる」という。

 運転中の携帯電話による通話禁止や、チャイルドシートの着用義務化、第二東名高速道路の法定速度引き上げ検討など、結論を導くにはとてつもないデータの解析や仮説、実験、立証の繰り返しがある。

 一つの交通事故でも、事故処理担当者が報告するデータは百項目以上。これらの数字を組み合わせたり、実際に行動実験を重ねて松浦ら研究者は、日本の交通社会に一番適したルールを探っている。

 心理学者でもある松浦に「ハンドルを握ると性格が変わる人がいるのはなぜか」と質問したところ、「一般に性格というと社会生活の中、相手が存在する立場の性質を指しがちだが、人間の性格は一つではない。家で一人で居るときと職場に居る性格が違うのと同様、車という密室で興奮しやすい場所では、その人なりの違った性格がある」と即答した。

 松浦は「交通心理学は奥が深い。東西交通の盛んな静岡から、自分たちのレベルを超えるようなエキスパートが出現することを願っている」と穏やかに笑った。

 掛川中、掛川西高は優秀な警察関係者を多数輩出している。公安、刑事畑を歩み県警察学校長などを歴任した山崎淑郎(昭16卒)=浜松市=は現在、浜松地区の同窓会「浜松冀北会」の会長。警察庁刑事局国際刑事課などに籍を置いた森下克弘(昭38卒)=静岡市=は、昭和天皇の大喪の礼で関東管区機動隊の大隊長を務め、現在は県警の警務部参事官兼警務課長として治安の維持に全力を投じている。 

(文中敬称略)

 

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