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引佐高校100周年  いなさの丘に

第2部 OBは語る(12) 細田 しゅん一氏 苦労経て「生きる力」

仕事の傍ら、商工会長を務める細田さん=細江町商工会で

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 戦争のさなか、学校生活を送った細江町商工会長の細田しゅん一(71)=四十四回生、細江町気賀。軍事教練と学徒動員に明け暮れたが「学生時代の体験がその後の自分の人生に生きる力を備えてくれた」。

 厳しい戦局。“男に生まれたからには国のため”との風潮は強かった。幹部候補生を目指した細田もその一人。

 一九四三(昭和十八)年に、中学(旧制)卒の資格を取るために入学した。学校は軍事色一色で、勉強も半ばそっちのけでもっぱら、武器の扱い方や軍人のような規律を教え込まれた。

 寺に泊まり込み、出征兵士宅で稲刈りを手伝うことは日常茶飯事。終戦間際には校舎は兵舎となり、勉強のため二教室がかろうじて残された。「教科書も少なく大変でした」と当時を振り返る。

 卒業後は家業のミカン栽培に精を出した。五十五年には米国で落葉果樹栽培を学んだ。世の中、次第に工業化へと進み、町にもその波が押し寄せた。

 細田も迷った。タイムレコーダー会社の社長から「うちの仕事を」と誘われ、七〇年に“農”から“工”に切り替えた。

 最愛の妻を亡くす悲しみも乗り越え、今は社長として、園芸科を卒業した長男淳一(44)=七十三回生=と部品製造業・細田精機を切り盛りする。

 九八年からは商工会長。「人生の悲哀を味わい、いばらの道だった」と語る細田。だがその顔は充実感にあふれている。 

(文中敬称略)

 

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