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浜松市立高100周年 心に誠・愛・節

新世紀の課題「共学化」

生徒や関係者ら約1500人が出席して行われた創立100周年記念式典=浜松市立高校で

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 十一月二日、生徒や関係者約千五百人が出席して行われた市立高校創立百周年記念式典。来賓として祝辞を述べた土屋勲浜松市教育長の結びの言葉がひときわ力強く、出席者の胸に響いた。

 「遠州地方の女子教育の中心として、価値ある年輪が刻み込まれた市立高。これまでの確かな歩みを土台に、創立百周年の節目を、社会の要請に応じた新たな学園づくりの契機にしたい」

 あいさつには市立高の男女共学化を本格的に検討しようという同市教育委員会の姿勢がにじんでいた。土屋教育長は既に九月の時点で「県立の女子高が相次いで共学化している。中学生の志向も共学だ。卒業生や市民の意見を広く聞きたい」と述べている。

 市立高は男子の受け入れを禁じていない。だが歴史的経緯から女子高として定着している。現在、県内の公立高で同様に女子だけが在学するのは、ほかに四校ある。

 愛校心深い卒業生の多くは、共学化を好まない。「浜松市は工業都市。静岡市に比べ男性っぽい性格を持つ。市立が“女子高”で在り続ける方がバランス的に良い」「母校が姿を変えるのは寂しい」などの意見が目立つ。一方で「公費を投じ立派な施設を充実させている市立高。男子にも開放してほしい」といった声も少なくない。

 校史を振り返ってみよう。近代産業が急激に発展した明治後期。時代は、教養を身に付けエリートの伴りょとなる女性たちの出現を求めた。こうした背景と、現在の市長に当たる中村忠七・浜松町長の並々ならぬ熱意が、市立高の前身・浜松高女を誕生させた。

 一世紀が過ぎた今。既存の社会システムが次々と壊れていく時代にあって、現代社会が教育に求めるものは「生きる力」「豊かな心」の育成という、教育の本質に集約されつつある。

 市立高の校訓「誠・愛・節」こそ、時代に左右されず、生徒に心の豊かさを学ばせ続ける“不変の教え”。たとえ共学化を果たしても、その基礎が揺らぐことはない。進学塾の進路指導担当者は「共学化を目指すのであれば、ここ二−三年が一番良いタイミングではないか」と分析する。

 連合国軍総司令部(GHQ)の影響で、終戦直後に一年間だけ共学を行い、事実上失敗した経緯がある市立高。当時を知る人は共学化をタブー視するほど。このまま孤高を持するのも学校の個性の一つではある。市教委がどちらの道を選ぶのか。百年の節目の向こうに、新たな道程が待っている。

(文中敬称略)

 

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