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浜松市立高100周年 心に誠・愛・節

卒業生(5) アート通し福祉に貢献

 開校以来“良妻賢母”を育ててきた市立高校。「それに終わらず個人としても活躍を」という時代に、妻や母として家庭を守りながら、自身も芸術家として活躍している卒業生がいる。掛川市在住の版画家、柳澤紀子さん(61)=高11回卒。

 世界各国で個展を開き、今年七月には版画界では権威のある「山口源大賞」(沼津市主催)を県内在住者および女性として初めて受賞。一方で東京に住む夫で金融担当大臣の伯夫氏のもとへ週二回通う日々。「東京では食事を作っています。夫の健康管理は私がやっているんですよ」と笑う。

 市立高校卒業後、東京芸術大学へ進学。大学院を修了した後、当時大蔵省に勤めていた夫の仕事の関係で、一九七一年から四年間、米国のニューヨークに移り住んだ。「ニューヨークでの経験や人間関係が、後に海外で活動するのに役立った」と振り返る。

 帰国後、「政治家になりたい」と言い出した夫に一度は反対したものの「役人ではなく政治家として社会の役に立ちたいという彼のロマンに共感した」と目を細める。夫が政治家として落ち着くまでは十分な制作時間が取れない時期が続いたが、一九九〇年ごろから本格的に再開。「このころから精神的に集中できるようになった。納得のいく作品も生まれ、周囲の見る目も変わり、応援してくれる人が増えた」

 大きなアトリエがある掛川市の自宅は、現在一人で住んでいる。「少しでも制作にかける時間をつくりたい」と三十代のころからパートに手伝ってもらいながら「洗濯など他人にできることは任せる」ほど、創作意欲はおう盛だ。最近は海外の恵まれない子どもたちのために個展を開くこともあり「自分のアートがどういう力を持つか分かってきた。そういうことで貢献できてうれしい」と話す。芸術家としての社会に対する態度も変わってきたという。

 金融担当大臣という重責を負う夫については「良きパートナー。掛川に帰ってくると、料理も手伝ってくれるんですよ」と明かす。「結婚以来、互いに尊敬し合える関係です」と言うように、それぞれの成功の陰には、信頼し合う夫婦の関係があるようだ。

 日本を支える大臣の妻。世界で活躍する芸術家。二つの顔を持つ柳澤さんは後輩にこうエールを送る。「これからは個性がないと生きていかれない。学校以外の時間でも、肉体で感動できる自分自身の経験を積み、感性を高めていってほしい」

(文中敬称略)

 

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