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浜松市立高100周年 心に誠・愛・節

卒業生(1) 電話で心の危機救う

 温かい人、気取らない人、そして会話するだけで居心地を良くさせてくれる人…。電話による心の援助活動「浜松いのちの電話」で、評議員を務める植田睦子さん(58)=高13回卒、浜松市上浅田=は、多くの相談者の危機を救ってきた。

 いのちの電話は一九五三年英国で始まり、四十カ国以上の都市に広がる相談事業。自殺を考えるなど精神的危機に追い込まれた人々が匿名で相談できる。日本には現在五十カ所の加盟センターがあり、浜松は十五年前、国内二十五番目に開局した。

 植田さんは、子育てが落ち着いた三十代半ばで「生涯を通じて学べることに取り組みたい」と、一念発起。心理の世界を選んだ。手始めに県が各地で無料開講した「親業講座」に着目する。

 親も一つの職業で勉強が必要だという趣旨の同講座。児童心理学などを熱心に学ぶが「全然分からず、さらに向学心が芽生えた」と振り返る。ここで知り合ったグループが、浜松いのちの電話の開局に携わった。

 昨年の国内自殺者は約三万四千人。交通死者の約一万七千人よりはるかに多い。浜松いのちの電話にも「死にたい」「助けて」という悲痛な叫びは年間八千件に上る。

 相談員は指示・指導は原則的にしない。まず聴く。相手の気持ちを受け止めて共感し、本人の中に必ずある“答え”を一緒に探し出す。「閉ざした心を開き、感情をぶつけてくれる方がうれしい」と植田さん。

 悩みを抱え電話する大人の多くは、幼少時に「親にかわいがってもらわなかった」と話す。植田さんは「せめて三歳までは親子のふれ合いを大切にしてほしい。それだけで心が病む確率は下がるはず」と力を込める。

 思春期からは「気持ちを解(わか)ることが重要」と強調する。いじめられ、傷を負って帰ってきた子どもがいた場合、親は「どうした?なぜ?だれに?」と質問を浴びせ、解決したくなる。だが植田さんは「まず悔しかっただろうね、と共感することで子どもはいやされる。そこに気を配ってほしい」と語る。

 深刻な問題を時にはユーモアも交え、説く植田さんは、講演などに呼ばれることも多い。明るい性格の持ち主だが四十一年前の夏を悔やむ。「高校二年の夏休み。同級生が電車に飛び込み自殺した。なぜ解ってあげられなかったのか。その気持ちこそが私の原動力なのかも」と。

 浜松の相談電話は053(473)6222。

(文中敬称略)

 

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