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浜松西高80周年 西山台に時移り

部活動編 文武両道 頑張った分 自信に

 運動部、文化部ともに好成績を収めてきた浜松西高。勉学と部活の両立は、進学校では想像以上に難しいが、西高の場合は校訓の「知・仁・勇」の精神がそれを支えてきたと言えるのではないか。

 今は「高い知性・豊かな心・たくましい力」と言い換えられる校訓。底流にあるのは文武両道だ。長時間の活動で疲労が激しい運動部では、なおのこと両立は難しい。先輩に導かれ、独力で考え出し、各自が工夫を重ねて勉強に取り組んできた。

 静大生の鈴木彰人(平16卒)=静岡市小鹿=は高校時代、野球部内でプロ野球西武の強打者に例えて「浜松のカブレラ」と呼ばれた。打撃練習中、打球がグラウンドの向こう側の校舎窓ガラスを直撃してたびたび割るため、防護ネットが張られたのは有名だ。

 高校時代は毎日午後九時帰宅、朝五時起床。朝練のため七時に登校した。部活に拘束される分、時間を有効に使った。電車の中で英単語カードを繰り、授業に集中した。「眠気を防ぐため、聞いているだけじゃなくて自分で考えた」と秘訣(ひけつ)を明かす。OB監督や先輩からの「一つのことに集中しろ、切り替えが大切」のアドバイスも利いた。引退後の夏休みは一日十時間、平日は四、五時間勉強した。

 部活をやめようと思ったことは、の問いに「あまりない。礼儀、根性、達成感。運動でしか得られないものがあるから」ときっぱり。「頑張ったことに対して自信がついた」と力を込める。

 現役生はどう両立しているのか。サッカー部主将の二年生久留島光博は毎日二時間程度机に向かう。部活で疲れた時は「テレビを見るなどして切り替えし、好きな教科から始める」。同じく二年生でバスケットボール部主将の稲川紗祐子は「三十分ぐらい寝て、お風呂に入る」という。見たいテレビ番組は録画して後日楽しむ。

 中等部テニス部三年生の石田佳菜子は、一昨年の全国大会ダブルスで優勝し、昨年はシングルスで全国三位になった有力選手。テニスクラブ通いとの掛け持ちで睡眠は平均四時間。「はじめは授業中に眠くなったけど、慣れました」。夜は疲れているため、早朝に勉強する。

 一世代前の先輩も両立に苦心していたのは同じだ。ソフトテニス部で二年連続高校総体に出た高柳浩(昭41卒)=浜松市元浜町=は毎日、日が暮れて球が見えなくなるまでコートに立った。帰宅は午後八時すぎ。日曜も長期の休みも、部活に費やした。

 校内には部活を奨励する空気が満ちていた。その背景には、当時の校長相佐明一(故人)の方針があったようだという。「近寄りがたい厳格な先生だったけど、『勉強をやるときは勉強を。運動の時は運動をやれ』いう考えで、その雰囲気がほかの先生方にも伝わっていたのだろう」と話す。

 「授業中の居眠りは先生が目こぼしをしてくれたし、指名もはずしてくれた」。とは言え、及第点を取らねば落第する。「勉強もそこそこやったよ」。

 「西高はまさに文武両道だった」と懐かしむ。高柳の二男真司は昨春、西高を卒業した。「息子の時は宿題が多くて、とても運動はできなかった。今運動部に入っている子はすごい」とたたえる。「公立校の文武両道にこそ意味がある」と語り、今後の運動部の行く末を見守っている。

(文中敬称略)

 

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