トップ > 静岡 > 高校・大学周年特集 > 浜松学芸高100周年 > 記事

ここから本文

浜松学芸高100周年 学芸の詩

同窓生編 歌のある人生 辛酸あるも、つきぬ感動

 「歌は人生の杖(つえ)。夢を抱き続け、結果を出していくには常に努力と忍耐が必要」。十六年間、藤原歌劇団員として数々のオペラの大役を演じ続けるメゾ・ソプラノ歌手永田直美=音楽科8回生、神奈川在住=は華麗なキャリアにおごらず前向きな思いを語る。

 大東町に生まれ、高校卒業まで浜松で過ごした。中学時代は合唱部で活躍。ピアノ講師の紹介で声楽教師古屋豊と出会う。師が教壇に立つ信愛へ。「この進路は自分で決め親には事後承諾。両親とも協力的で特に亡母は最大の理解者でした」

 入学後初の合唱の授業で「声が突出してハーモニーを乱している」と先生に注意された。「納得できず職員室まで抗議に行ったんです。いま思うと生意気な生徒でした」と頭をかいて懐かしむ。

 信愛での古屋の印象は「めったに怒らないおおらかな人」。現在、大学で声楽を教える永田は「怒らない指導って、これが難しいんです。個性を生かし、可能性を引き出す先生の極意だったのでは」と薫陶を振り返る。

 東京芸大卒。一九八六年、藤原歌劇団に「カヴァレリア・ルスティカーナ」のローラ役でデビュー。ほか数々の名作オペラに出演、九二年には「カルメン」のタイトルロール(主役)に抜てきされた。郷里浜松では市民オペラ協会の「カルメン」で主役、「三郎信康」の徳姫役を好演。九四年から一年間、文化庁の派遣でミラノに留学した。

 華やかな舞台の影で苦難もつきまとう。十年ほど前、同歌劇団のオペラ「運命の力」のプレチオズィツラ役で本番直前、大風邪をひいた。「のどが腫れ、うがいをすると血がいくらでも出てきて…。のどに注射して泣きながら歌いました」

 苦節を経た九五年に村松賞受賞、浜松市の浜松ゆかりの芸術家として顕彰された。「将来がみえず眠れないほど苦しい時もあった。でも良い作品に出会ったり新たな音楽表現を発見したりと感動はつきない。プロ、アマ問わず歌い続ければ『歌のある人生で良かった』と思える日がくるはず」と後進へ言葉を添えた。

 小三の時から市民合唱団で歌い続ける音楽科二年川口絵理佳は「練習で流した涙も舞台の感動で忘れてしまう。私も永田先輩のように大きな舞台を目指し大きな感動を味わいたい」と夢を膨らませる。

(文中敬称略)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索