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浜松学芸高100周年 学芸の詩

同窓生編 幅広い芸術視野 オペラがなじむ街望む

オペラの舞台で迫力あるテノールを響かせる黒田晋也さん=浜松市で

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 「イタリアではだれもが普段着の感覚でオペラを聴きにでかける。浜松市民にも、ぜひそうなってほしい」。二期会のオペラで活躍するテノール歌手黒田晋也=音楽科6回生、東京在住=は郷里浜松の音楽土壌の底上げに熱い期待を寄せる。

 北海道函館市の生まれ。親の仕事の関係で一歳のとき菊川町に、六歳で浜松市に移住した。中部中では野球部で活躍。三年のとき「声がでかい」という理由で校内の合唱団でソリストを務める。終演後の講評で「きれいで張りのあるテノール」の言葉に「歌の才能」を自覚したという。

 当時女子校の信愛で音楽科だけは創設時から男女共学。だが黒田のクラスは二十四人中、男子はたった二人。「野球に明け暮れた少年としては窮屈な環境で勉強にも身が入らなかった」

 そんな黒田に活力を与えたのは高二のとき出会った特別講師の荘智世恵・元国立音大教授。めったに来校しないうえ三年生しか教えない有名な先生と聞き、授業を抜け出して三階のレッスン場へ。「席の後ろの方で隠れていたら見つかっちゃって…」。その荘は進学先の国立音大で最大の恩師となる。

 同大学院オペラ科修了。一九八四年に「メリー・ウイドー」のカミーユ役で二期会デビュー。八五年に一年間、文化庁芸術在外研修員としてウイーンに留学した。オペラに限らずミュージカルやオペレッタにも意欲的に出演、芸域を広げた。

 その一方で浜松市の「音楽の街づくり」への貢献は著しい。市民オペラ協会主催の「カルメン」「椿姫」「三郎信康」にはすべて出演し、八年続いている市の「小中学校オペラ巡回教室」で演出を担っている。

 市の「浜松ゆかりの芸術家顕彰制度」で黒田は九五年、音楽科同窓生としては第一号で顕彰された。「どんなジャンルでも『音楽』を大切に、客の顔がみえる歌い手」を志す黒田。後進には常に「広い視野で芸術を眺め、専門バカにならず、末は芸術を『芸』へと発展させてほしい」と語る。

 テノール歌手を目指す今村一貴(1年)は「七月の同窓生コンサートでは皆さんが生き生きとしていて音楽の喜びが伝わりました。中でも黒田さんのテノールにはしびれ、学校にあるCDで歌を聴き直したほど。僕にとって黒田さんは大きな目標です」と目を細めた。

(文中敬称略)

 

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