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浜松学芸高100周年 学芸の詩

歴史編 信愛カラー 良妻賢母から人間教育へ

「信と愛」を唱えた二代校長中村春治郎の銅像を囲む生徒たち=浜松市下池川町の浜松学芸高校庭で

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 「信と愛とは 一切の文化を創造する最高最深の生命力である」。この教育精神を唱えた二代校長中村春治郎の銅像が校庭にたたずむ。開校時からの良妻賢母教育は春治郎によって普遍的な人間教育へと進化を遂げた。

 「いつも穏やかで怒った顔をみたことがありません。校内のごみを率先して拾われる、そんな先生でした」。普通科同窓生の「ときわの会」会長玉木悦子=昭29卒、浜松市市野町=は春治郎の人柄をそう振り返る。四角い顔、端正な七三分けの頭髪から、愛きょうある「食パン」のあだ名もあった。

 自ら信奉する仏教思想に基づいた「信と愛」。信とは真実、正直、清浄、光明を、愛は無我、奉仕、歓喜、希望を示す。春治郎は学校近くの天林寺に生徒を伴い、座禅を組ませるなど修養に努めた。また月曜朝、校内の講堂で「アソカ会」と称して全校生徒に自ら講話を聴かせた。

 「静寂の中、講堂脇の池に水が落ちる音を聞きながら、先生の訓話は染みいるようでした」(玉木)。中でも中国故事の話が思い出深い。漢朝の功臣韓信は若いころ町で無礼な青年に辱められ、そのまたをくぐらされた。が、これを忍び、後年、大人物になる。大望ある者は目前の侮りをも忍ぶべきとの例え話だ。卒業後、信愛で三十四年間教べん(家庭科)を執った玉木の心を支えた人生訓の一つとなっている。

 ときわの会のシンボルカラーは姫松の濃緑色で『ときわ』は年中緑の意味。「しなやかに伸びる松の緑は強い日差しを遮って心地よい日陰をつくる。母なる大地に根を張る『ときわ』は信愛カラーそのもの」と玉木。

 歴代の名簿をひもとくと、自笑亭社長山本ます(明41入)志田織物社長志田きくゑ(大9卒)東京銀座アゼリア洋装店経営市川芙沙(大15卒)日展入選書家斉藤千紗(昭20卒)葵幼稚園長島津美智子(昭31卒)華道松濤流家元三沢純子(昭42卒)心象画家草笛由美子(昭43卒)など活躍めざましい同窓生は枚挙にいとまがない。

 音楽科一年の内野登弓(たかみ)は学校の色を「大好きな淡いオレンジ」とした。「(音楽を)心から楽しく学べ感動できる環境がある」から。音楽科の卒業生でもある母哲(のり)子が今もピアノ講師であり続ける姿に「好きなことをやり通す、しんの強さを母から学び、この学校を選んだ」。信と愛の精神、その本質は世紀を越えてなお変わらない。

(文中敬称略)

 

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