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さらばグラバー号 名古屋−長崎間の夜行バス、11月終了

 名古屋−長崎間の904キロを毎日結んできた夜行高速バス「グラバー号」が、11月いっぱいで廃止される。格安航空会社(LCC)の便への乗客流出に加え、燃料費の高騰が引き金に。1989(平成元)年9月のデビュー時に「日本最長距離」だった路線の歴史が、改元前に幕を閉じる。(中野祐紀)

 幕末に長崎を拠点に活躍した英国の武器商人トーマス・グラバー(1838〜1911年)の名にちなむ路線は、名鉄バス(名古屋市)と長崎自動車(長崎市)が共同運行する。両社が1台ずつバスを出し、長崎行き、名古屋行きを毎日1便ずつ走らせる。ともに午後7時台に出発、片道11時間40分かけて目的地に着く。

 27人乗りのゆったりした3列シートで、90年に約1100キロの他社の東京−福岡便ができるまで日本最長を誇った。終点の長崎新地ターミナルまでの片道は1万2580円。2万円を超える新幹線・在来線の正規料金より安価で一定の人気があった。

 ただ、長崎自動車によると「LCC便の就航が増えて客が奪われ、長崎の人口も減っている」。同社の採算ラインは一便あたり17、18人の乗客だが、2017年は平均15人台に。最近数カ月、米国の対イラン制裁など不安定な中東情勢を背景に燃料価格が上がり、赤字を支えきれなくなった。提案を受けて単独運行を検討した名鉄バスも、運転手の人繰りなどを総合的に判断し、諦めた。

 観光客とともに、東海地方に赴任したり進学したりした長崎出身者の帰郷の足と重宝されてきたグラバー号。「列島の大動脈を走るわが社の象徴だから、少々の赤字は抱えてきた。限界を迎え、苦渋の決断です」。自身が愛知県の大学に在学中に開通し、たびたび乗ったという長崎自動車総合サービスセンター課長の川崎毅さん(50)が、ため息をつく。同社は京都・大阪と長崎を結ぶ夜行バスからも撤退し、住民の日々の足となる短い路線網の維持に注力するという。

 中部運輸局によると、燃料高騰などの影響で廃止される名古屋発着の高速バスは、ほかには把握していない。名鉄バスは、残る九州行きの福岡便、熊本便は維持する。福岡と長崎を結ぶバス路線を持つ西日本鉄道(福岡市)と協力し、長崎行きのお得な乗り継ぎ切符を発行する方向で調整している。

(中日新聞)

11月いっぱいで廃止される、名古屋−長崎間を結ぶ高速バス「グラバー号」=名古屋・名駅の名鉄バスセンターで

11月いっぱいで廃止される、名古屋−長崎間を結ぶ高速バス「グラバー号」=名古屋・名駅の名鉄バスセンターで

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