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5000万円託した団体が脱税 遺言取り消し、遺族が請求

 家族と疎遠になった高齢者の身元保証などをしている名古屋市の団体が、会員だった男性=当時(56)=から「社会に役立てて」と託された遺産を申告せず、脱税したのは遺志に反するとして、名古屋市内に住む男性の兄(62)が、公正証書遺言の取り消しを求めて名古屋家裁一宮支部に申し立てをしていたことが分かった。初の審判は17日に開かれる。

 この団体の元代表理事は、男性ら会員2人から譲り受けた遺産計約1億5千万円を隠して法人税約3900万円を免れたとして、法人税法違反で起訴され、今年5月、執行猶予付き有罪判決を言い渡された。刑は確定した。男性の兄は「私利私欲のために隠され、脱税までされた。(遺産を)第三者のために役立てることはあり得ない。遺言を取り消すことの方が遺志にかなう」と訴えている。

 団体は、名古屋市中区の一般社団法人「和(なご)みの会」。関係者などによると、男性は愛知県江南市のトラック運転手で、2014年2月に病死した。亡くなる直前、死後に財産を譲る「遺贈」を同会に申し入れ、約5千万円の遺産を「社会のために役立ててください」と公正証書に残していた。

 兄の申し立ては、遺言を男性の最終的な遺志と認めつつ、会が遺言内容を実行する義務を負う「負担付遺贈」に当たると主張。会は、別に開設した口座に、男性の遺産を振り込ませて申告せずに脱税し、社会に役立つようには使っていないと訴えている。

 兄は、遺言の取り消しが認められれば、会に遺産返還を求める考えで、「弟の遺志を踏みにじられた。本当に社会に役立ててくれる団体に寄付し直したい」と話す。

 「和みの会」の代理人弁護士は取材に対し、男性から託された遺産を会が何に使ったのか明らかにしていない。ただ、「負担付遺贈には当たらない。申し立てには事実とは異なる部分がある」と述べている。

 同会は、家族の支援を受けられない高齢者や障害者を対象に、入院時の身元保証や財産管理、葬儀の代行などを手掛ける。ホームページ上などで、経済的に苦しい人たちに役立てるための「基金」を宣伝し、一般からの寄付も募っている。

 <負担付遺贈> 遺言によって自分の財産を他人に贈る際、指定した受取人(受遺者)に対して一定の義務を負わせた上で贈与すること。例えば、妻への定期的な仕送りを義務として、別の人に財産を贈与するケースがある。受遺者は、贈与された分以上の義務を負うことはない。

(中日新聞)

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