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精神鑑定せず成年後見審判「違法」 名高裁、取り消し決定

 三重県桑名市が一時保護した市内の認知症女性(77)への成年後見人の選任を巡り、名古屋高裁が「本人の精神鑑定を経ておらず、手続きに違法がある」として、後見開始を決めた津家裁四日市支部の審判を取り消し、家裁に審理を差し戻す決定をしていたことが分かった。家裁の決定を不服として、女性の家族が即時抗告していた。後見開始決定が覆るのは異例。

 女性と家族は7日、本来不必要な後見の申し立てによって精神的な苦痛や金銭的な損害を受けたとして、申し立てをした桑名市と、国(家裁)に約513万円の損害賠償を求めて津地裁四日市支部に提訴した。

 高裁の決定で、藤山雅行裁判長は、市が提出した診断書や認知症の簡易診断の結果から「女性が高度の認知症を示すとまで言えない」と指摘。家事事件手続法が「(意思表示が全くできないなど)明らかにその必要がないと認めるとき以外、鑑定をしなければならない」と定めている一方、家族が提出した女性との面会記録からは「対話が一応成立」していることから、「明らかに鑑定の必要がないとは認められない」と結論づけた。決定は1月10日付。

 高裁の決定後に行われた鑑定で、女性は軽度の認知症で、後見より軽い「補助」で足りると診断された。市はあらためて女性に補助人を付けるよう家裁に申し立てたが、女性が拒んだため、取り下げた。

 女性は同居の次女(46)から虐待を受けている疑いがあるとして、市が昨年9月に一時保護し、後見人を付けるよう家裁に申し立てた。

 本紙の取材に、次女は「母の認知症が進行する中で、対応に戸惑ったことはあるが、虐待した覚えはない。そもそも母は後見を望んでおらず、意思に反した市の行動は許せない」と話した。

 一方、桑名市は「訴状が手元に届いておらず、その内容を確認した上で判断したい」としている。

 <成年後見制度> 認知症や精神障害などで物事を判断する能力が十分でない人に、援助者を付ける制度。既に判断に支障がある際の法定後見、将来判断能力が失われた場合に備える任意後見の2種類がある。法定後見の場合、症状の重い順に後見人、保佐人、補助人が付く。後見人などは本人や家族、市町村の申し立てに基づき裁判所が決定し、財産管理や契約行為を代行する。

(中日新聞)

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