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「中日いきいき学習賞」決まる(2018年2月14日)

 中日新聞社は、新聞を活用した教育実践で成果を上げた6人の教師に「第21回中日いきいき学習賞」を贈ります。表彰式は17日、名古屋市中区の中日パレスで行います。

「中日いきいき学習賞」決まる

 岡村佳和さん(名古屋市立笈瀬中学校教諭)スクラップノートづくりや朝のNIEタイムでの継続的な新聞学習を行い、多面的・多角的に考察する生徒の育成に取り組む。各種新聞コンクールにも参加。

 早川孝則さん(愛知・名城大付属高校教諭)高校3年間のキャリア教育の中核に新聞活用を据えて学習計画を立て、アクティブラーニングの実践に努める。NIE全国大会で公開授業をした。

 三牧道代さん(愛知県碧南市立西端小学校教諭)校内研究主任として新聞学習カリキュラムの作成や新聞を読む日の設定、各教科での新聞を教材とした授業を推進。代表しNIE全国大会でも発表。

 加藤洋子さん(同県岩倉市立南部中学校教諭)外国人児童生徒らへの日本語指導で、カリキュラムの中に新聞記事を教材と位置付けて実践。キャリア教育でも新聞を活用、将来のビジョンをもたせる。

 松尾寿美代さん(岐阜市立徹明さくら小学校養護教諭)自分の健康は自分でつくりあげる児童生徒を育てたいと、新聞を活用した保健指導を意欲的に行う。保健委員会でポスターづくりなどに取り組む。

 定者由美子さん(石川県加賀市立錦城中学校教諭)新聞記事を教材に感想を書かせたり、新聞の発言欄を利用したりし、生徒の社会的事象への関心を高める実践に取り組む。新聞切り抜き作品の指導も進める。

(2月14日付 中日新聞朝刊28面より)

受賞したみなさんの活動(2018年2月22日)

 NIE(教育に新聞を)を、授業や課外活動で実践する先生を顕彰する2017年度「中日いきいき学習賞」は、いきいき学習賞に6件を選出した。

 中部9県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野、滋賀、福井、富山、石川)の小中高校教諭が対象。継続性を重視して選考された。

多角的に考え議論促す

岡村佳和さん(37)名古屋市笈瀬(おいせ)中教諭

岡村佳和さん(37)名古屋市笈瀬(おいせ)中教諭

 社会の諸課題を多面的・多角的に考えられる生徒を育てたい−。そんな思いから、社会科で新聞記事を積極的に活用してきた。教科書や資料集と違い、「新聞は起きていることをリアルタイムで知り、生徒が考えるきっかけにもなる」。

朝の新聞学習で記事を読み、自分の考えを書く生徒たち=名古屋市笈瀬中で(岡村教諭提供)

朝の新聞学習で記事を読み、自分の考えを書く生徒たち=名古屋市笈瀬中で(岡村教諭提供)

 2016年度は、公民的分野の授業で「女性の労働力率を上げるためには?」をテーマに、3年生がグループごとに政策を考えた。あるグループは集めた記事を参考に、在宅勤務を企業に浸透させ、保育士の待遇を改善するなどと主張を展開。別のグループの生徒は、ほかの記事を示して「保育所建設に反対の声がある地域もある。まずは住民の理解が必要」などと意見を述べ、議論を深めた。「さまざまな考えがあることを記事から捉え、対話を通してより良い解決法を主体的に考えた子が多かった」と振り返る。

 ただ、新聞を購読する家庭は年々減っている。記事を読み込めるよう1年生から、新聞切り抜き作品作りや朝の新聞学習、スクラップノートと、新聞に親しむ取り組みを積み重ねてきた。3年計画でNIEを綿密に進めた結果、「世の中の出来事について自分の考えを書ける子が増えた」と喜ぶ。(世古紘子)

過去記事から未来予測

早川孝則さん(37)愛知・名城大付属高教諭

早川孝則さん(37)愛知・名城大付属高教諭

 ユーチューバーという職業が当たり前に存在する今の社会を、どれほどの人が予想できただろう。生徒が新聞記事から10年後の社会情勢を予測し、自分が目指したい職業や技能は何かを考える授業に取り組む。「生徒の漠然とした夢が、根拠のある明確なものになった」

新聞記事に目を通す生徒たち=名古屋市中村区の名城大付属高で

新聞記事に目を通す生徒たち=名古屋市中村区の名城大付属高で

 未来を予測するのに調べるのは10年前の出来事だ。図書室にある新聞縮刷版から、現在の社会情勢を導く転機となった事実の記事を選び出し、なぜそうなったのかを考察。今の記事から未来を推察する力を養い、10年後にどう社会に貢献したいか、将来のキャリアプランを考える。

 論理的に読み手に伝えるため文章の書き方にも力を注ぐ。プランを基に、生徒同士が10年後に再会したと想定して取材し合い、中日新聞の「この人」にならって互いを紹介する記事を執筆。「自分が本当に学びたい大学の学部や学科を見つける生徒もいる」という。

 「子どもたちの夢を、直接応援できる仕事に就きたい」と教員になった。新聞を広げると思いがけず自分が知らない分野で働く人々に出会い、興味が広がる。「今後も新聞を通じて生徒を後押ししたい」と話す。(川合道子)

写真つなげ「すごろく」

三牧道代さん(49)愛知県碧南市西端小教諭

三牧道代さん(49)愛知県碧南市西端小教諭

 新聞を授業に役立てる活動に元々積極的で、勤務先の西端小が実践校に指定された2014年度から、さらに力を入れた。17年度は校内の研究主任を任され、名古屋市であったNIE全国大会で学校代表として取り組みを発表した。

記事にちなんだクイズが載った新聞のプリントを配布=愛知県碧南市西端小で

記事にちなんだクイズが載った新聞のプリントを配布=愛知県碧南市西端小で

 西端小は全学年、全教科でNIEの実践を目指している。発達に応じた工夫が必要な中、1年生を担当した15年度は、昔の遊びを学ぶ生活科の授業用に「新聞すごろく」を発案。新聞記事の写真を貼った画用紙を升の代わりにつなげ、人間が駒になる。児童には写真選びのほか、止まった際のイベントも考えさせた。

 「秋を伝える柿の写真なら『食べ過ぎて1回休み』とかね」と振り返り「新聞を上手にめくることもできなかった子どもが写真から親しみ、想像力も伸ばせました」。記事にちなんだクイズが載る本紙教育面をプリントにして3年生以上が毎週解き、4年生からは記事の要点のまとめにも挑戦。長文の読解力につながっているという。

 「新聞は教科書と違って今の話題を扱っているのが魅力で、子どもの興味が広がります。新聞を手だてにした授業を今後も考えていきたい」と話す。(片山健生)

日本語学習に彩り加え

加藤洋子さん(42)愛知県岩倉市南部中教諭

加藤洋子さん(42)愛知県岩倉市南部中教諭

 外国にルーツを持つ子どもが多い愛知県岩倉市。そうした生徒たち向けに開く日本語教室で、2015年度から新聞を取り入れた。「日本で生きていく中で、社会参加の第一歩になれば」との願い。表現力の向上や、将来を考えるキャリア教育に生かしてきた。

新聞を日本語学習に役立てる生徒たち=愛知県岩倉市南部中で

新聞を日本語学習に役立てる生徒たち=愛知県岩倉市南部中で

 当初、生徒たちは新聞を目にすると、文字の多さなどから露骨に嫌がった。まずは慣れてもらおうと考えた。ルビ付きのページなど、日本語の力に応じた記事を用意したり、興味のある記事を生徒自身に選んでもらったりと工夫した。学んだ内容を新聞風にまとめる際にも、実際の新聞の構成を手本として見せた。

 NIEの授業を特設するのではなく、ふだんのカリキュラムの範囲内で新聞を活用している。分かりやすく説明する力を培う国語の単元では、さまざまな職業を紹介する欄「ハローお仕事」(現「お仕事ファイル」)を生徒が読み、自分でまとめて説明。キャリア教育にもつなげた。

 活動を重ねて「生徒が新聞を嫌がらなくなり、入り口を広げられた」と手応えを感じている。「カリキュラムの中に上手に取り入れることで彩りのある授業にしていけたら」と語った。(鈴木あや)

「命」テーマに知識磨く

松尾寿美代さん(52)岐阜市徹明さくら小養護教諭

松尾寿美代さん(52)岐阜市徹明さくら小養護教諭

 小学校や中学校で7年9カ月間、保健関連の委員会活動として、新聞の切り抜きを活用したポスター作りなどに取り組んできた。スマートフォンなどを使い、インターネットでニュースを知る家庭が増えているが、それでは興味のある情報しか取得できず、知識が偏ってしまう。「もっと広く深く物事を知り、考えてほしい」と、新聞の活用を考えた。

新聞記事を使ってポスターを作る児童ら=岐阜市徹明さくら小で

新聞記事を使ってポスターを作る児童ら=岐阜市徹明さくら小で

 活動のテーマは「命」。本年度は、たばこやスマホに着目し、関連する記事を切り抜いてもらった。「活動中、『あ、これ知ってる』『たばこって、こんなに体に悪いんだ』などと、子どもたちに会話が広がっている。家庭でも話題にしているようでうれしい」と語る。作品を見た子どもたちが「あの子はこんなことを考えているんだ」と互いに関心を高める効果もある。

 新聞から知識を得ることで、主体性や自己管理能力を高めることができると考える。普段、保健室にいると、自分の体や生活のことなのに、「先生に言われたから来た」と話す子どもが増えているように感じる。

 「子どもたちが知識を身に付け、取るべき行動を考えられるよう今後も新聞を活用したい」と語った。(下條大樹)

オバマ氏演説 読み解く

定者(じょうしゃ)由美子さん(50)石川県加賀市錦城中教諭

定者(じょうしゃ)由美子さん(50)石川県加賀市錦城中教諭

 2016年5月、現職米大統領として初めて被爆地・広島を訪れたオバマ氏。そのときの講演の英文を、生徒たちに日本語に翻訳させたり、感想を書いてもらったりした。

新聞記事から社会の出来事への生徒の関心を喚起=石川県加賀市錦城中で

新聞記事から社会の出来事への生徒の関心を喚起=石川県加賀市錦城中で

 「原爆に対する外国人の思いを初めて聞いた。世界が平和になってほしいと思うのは日本人もアメリカ人も同じ」「広島を核戦争の夜明けじゃなくて、道徳的な目覚めであると言ったオバマ氏の言葉が忘れられない」

 感想文には、社会の出来事に関心がなかった生徒たちが、自分の意見をきちんと書いた。うれしさもひとしおだった。

 7年前に赴任後、担当の英語の授業で新聞記事を活用した平和教育に取り組んできた。8月6日の広島・平和記念行事のうち、子どもたちによる「平和への誓い」をグループごとに英訳し、逆に「everyday peace」はどんな日本語訳にすればいいか、生徒に考えさせた。

 新聞切り抜き作品作りにも取り組み、錦城中は毎年入賞している。その指導に中心的にあたる。「創造性があり、何度も繰り返し読める新聞。自分の意見もまとまるし、考えも深まってくる」と成果に満足げだ。(浦上豊成)

(2月22日付 中日新聞朝刊33面より)

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