
栄養たっぷりサクサク土植え替え、出荷すべて手作業三重・鈴鹿の特産
道路脇や校庭で、サツキの花が満開を迎えていませんか。昔のカレンダーで、ちょうど今ごろのことを「さつき」と呼びました。その名をもらった花は、三重県で一番たくさん栽培されていて、全国の生産量の半分近くを占めています。きれいに咲かせるためにどんな工夫をしているのか、主な産地である鈴鹿市の農家で聞いてみました。 薄い朱色や白、ピンク。畑には、さまざまな色や形の花が咲き乱れていました。高さ約六十センチ、丸く刈り込まれた木に目を向け、農家の水野光義さんが「これは七、八年目。挿し木で増やし、高さ三十センチぐらい、三年生になったら出荷しているよ」と、仕事の内容を教えてくれました。 挿し木とは、新芽を摘んで土に挿しておくと根が出るので、それを育てて苗木にする方法。七月半ばからその作業をし、翌年の五月ごろに畑に植え替えます。出荷は九月から、つぼみが付く前の四月まで。「すべてが手作業。大きくなった木も、スコップで一本一本掘って出荷するんだ」とつらそうな表情。難しいのは「雨が少ないと、肥料が土中まで染み込まず、地表に近いところだけ濃くなってしまう。葉が黄色くなる被害が出るので、天気を見計らって水をまく」といいます。 ところでなぜ、サツキがこの地方の特産になったのでしょう。鈴鹿農協の林裕人さんによると「昔、この辺りはイモ畑。戦後、全国で新しい道路が造られるようになると、集まって咲くと美しいサツキが街路樹として採用され、多くの農家が手掛けるようになった」そうです。 また、ここの土が、サツキに適していたことも、理由の一つ。「黒ボクといって水はけがいい上に、肥料をよくとどめておく土なんだ」というので、こども記者たちも触ってみました。「わー真っ黒」。とても細かくて、指紋の間に黒い砂が入り込み、はらっても取れません。 良いサツキとは「葉の色つやがよく、木に勢いがあって花が多い」と水野さん。そんな木を育てるため「出荷した後の畑は一年休ませ、牧草の種をまいているよ」と、隣の、草だらけの畑を指さしました。記者たちは「エッ」と目をパチクリ。刈り取った牧草を畑に混ぜ、土づくりをしているのです。 記者たちは、苗木の植え替えを体験しました。草の養分をもらった土は、ココアの粉のようにふんわりサクサク。ただ、苦労して育てても、最近は道路を造る工事が減少。市全体で、十年ほど前の最盛期の、四割ぐらいしか出荷していません。「個人の家で楽しんでもらえるよう、小さな鉢植え栽培も始めました」と林さん。 水野さんはサツキの魅力を「花の色が優しくて飽きがこない」といいます。「苗木を植えれば二年目に花が咲き、木の寿命が長い。冬には紅葉して季節感もあり、ぜひ家庭で楽しんでもらいたいな」と話していました。
こども記者*ひとくちメモ
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