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話題を追って

現在地か、移転か敦賀市本庁舎 建て替え議論熱帯びる

「十分な根拠を示す必要」

市防災センター(左奥)などと隣接する敦賀市本庁舎=同市中央町で

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 現在地のままか、移転か−。震度6強の地震で倒壊の恐れのある敦賀市本庁舎の建て替え候補地を巡り、議論が熱を帯びている。市長が急きょ市中心部の多目的施設「プラザ萬象」(東洋町)敷地への移転も検討すると表明したからだ。ただし「判断材料が不十分」として、市議会最大会派の市政会などが反発し、市は移転案の十分な根拠を示すことが求められている。 (古根村進然)

 「防災拠点として災害発生時の初動を円滑にするため、防災センターと市庁舎は同一敷地にあるべきだ」。市議会定例会の代表質問で中野史生氏(市政会)は防災面に触れずに萬象敷地への移転を持ち出した渕上隆信市長に問いただした。

 庁舎の耐震問題を受け、市は昨年十月に中間報告書を発表。建て替える方針を示し、候補地は現在地の優位性が高いとした。市防災センターと敦賀美方消防組合消防本部に隣接しており、防災拠点としての機能を重視したからだった。

 防災センター(五階建て)は二〇〇八年一月に完成し、震度7クラスの地震に耐えられる。一一九番を受ける同消防本部消防司令センターや市危機管理対策課が入り、災害対策本部の設置場所となっており、災害時の体制が整う。

 東日本大震災の現地では発生直後、通信が途絶えて自治体の職員が移動もできず、被害状況の把握や情報発信が課題となった。同報告書の時点で一般災害や原発事故を問わず、消防と災害対策本部の設置場所が近いのは、初動など災害時の対応で有利とみている。

 市契約管理課の担当者は移転案のセンターの扱いについて「検討中」とし、具体策は示していない。

 まちづくりの観点からはどうか。渕上市長は代表質問の答弁で「(萬象の敷地は)敦賀駅から歩いてこられる距離。市全体の活性化につながる」と主張した。近くの敦賀駅前商店街振興組合は歓迎し、飲食店などへの集客増に期待する。

 一方で、敦賀のまちづくりに詳しい県立大地域経済研究所の井上武史准教授は「これまで敦賀で庁舎移転に伴う中心市街地活性化について検討していないはず。ほかの施設の統廃合も含めて考え、活性化につながる明確な根拠を示す必要がある」と警鐘を鳴らす。

 熊本地震を踏まえた国の財政支援を得るために、候補地は九月までに決めなければならない。萬象敷地に建てる庁舎の規模や費用は検討中としつつ、市はすでに萬象を壊し、現在の庁舎跡地に第二萬象を建てる案にまで言及している。

 移転に伴う条例改正案は出席議員の三分の二以上の同意が必要となる「特別多数議決」の対象で、九議席ある市政会など市議会(定数二四)の理解は不可欠となる。福谷正人氏(市政会)は「現在地と移転の場合のメリット、デメリットを平等に提示し、議会と議論し、市民の意見をしっかり聴く仕組みを整えてほしい」と話す。

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 敦賀市本庁舎 1974(昭和49)年10月に完成。地上5階、地下1階の鉄筋コンクリート造り。延べ8678平方メートル。2011年度、震度6強の地震で倒壊の恐れが高いと診断された。14年度に耐震改修をすると決めたが、16年4月の熊本地震を受けて見直し、10月に建て替える方針が示された。現在地での建て替えは延べ1万平方メートルで、免震構造を想定している。

 

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