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話題を追って

ミズガニ 食べ続けたいけど… 京都や石川では全面禁漁

庶民の味として県内で人気のミズガニ=坂井市のJF福井漁連三国支所で

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県内でも意見集約へ

 冬の福井を代表する味覚と言えば「越前がに」(ズワイガニ)だが、県内では脱皮して間もない越前がにの雄「ミズガニ」(ズボガニ)が、価格の手ごろさと食べやすさから人気だ。一方で、京都府は二〇〇八年度、石川県は一三年度から資源保護に向けて全面禁漁に踏み切っており「福井も歩調を合わせるべきだ」との声が大きくなってきた。来季のミズガニ漁の行方を探った。 (北原愛)

■今季で最後?

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 トロ箱に雄のズワイやミズガニが積み上げられ、競りでにぎわう坂井市のJF福井漁連三国支所の市場。漁が終了する二十日が迫る中、同支所や三国港機船底曳(そこびき)網漁協に「ミズガニは今年で終わりか」との問い合わせが増えているという。

 県水産課によると、県内では兵庫、鳥取県産も含め三百トンが流通しており、越前海岸沿いの旅館や飲食店は「県外からのファンも増えてきたのに、本当ならどうしよう」と戦々恐々。坂井市の主婦(73)は「小さいころから当たり前に食べてきた。なくなるなんて考えられない」と存続を願う。

■賛否両論

 同漁協の浜出征勝組合長(72)は「まだ何も決まっていない」と話す。「需要がない石川、富山と違う。ミズガニは福井の食文化」と、禁漁には反対の立場。石川のハタハタのようにカニの代わりになる魚種が見当たらないのも課題だ。近年の漁期短縮や石川県沖での禁漁は、確実に収入を圧迫してきた。「資源保護も大事だが、今の収入が減っては後継者問題はますます深刻になる」と悩ましい。

 一方、越前町漁協の小林利幸副組合長(65)は「ミズガニが一年たてば、ズワイの雄。五〜十倍ほどの値が付く。そちらの方が収入にも結び付く」との考え。昨季から県が売り出した最上級ブランド「極」にけん引されて「越前がにの名が上がってきている」との手応えから「ミズガニはあった方がいいが、ズワイが少なくなっては本末転倒」と資源保護に傾く。

■資源保護

 ただ、ミズガニと雄のズワイの生息域はほぼ同じで、禁漁と言っても一緒に網に入ってきたミズガニを海に放つだけ。「デリケートなミズガニはほぼ死ぬ」と指摘する関係者は多い。一方で、京都府海洋センターの調査では一〜三月の生残率は、大きさによって異なり、大きいのは三割ほど、小さいのは九割程度との結果が出ている。ズワイの府内の漁船一隻当たり漁獲量は禁漁前五カ年平均二・八トンから、近年は平均三・二トンにまで増えた。

 富山県から島根県沖のズワイの資源量の推計は〇七年度の三万三千七百トンをピークに、近年は一万八千トン前後で推移。関係府県でつくる「日本海ズワイガニ特別委員会」では増加に向けた対策を検討しており、福井県水産課によると、ミズガニ禁漁も漁期短縮や漁獲可能サイズの見直しと並ぶ案の一つという。

 兵庫、鳥取両県は、今季のカニ漁で独自に二日の休業日を設けた。ミズガニを「若松葉」として食べる文化があり、禁漁は避けたいとの考えからだ。県内漁業者もカニの生息域に保護礁を置き、操業一回当たりの漁獲量を定めるなど資源保護に取り組んできた。

 食文化と資源保護の両立は−。県水産課や県底曳網漁業協会によると、漁業者の意見を取りまとめて同協会で検討する方針。特別委の案とすり合わせ、十月には来季のミズガニ漁の動向が決まる。

 

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