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話題を追って

迫力天下一品!天空の城 「ファン増やせ」市民奮闘

越前大野城

青空と白山、紅葉、城の輝きがそろった天空の城「越前大野城」を撮影する人たち=18日、大野市の犬山撮影スポットで

写真

 大野盆地を真っ白な霧が包み、雲海にポッカリと浮かび上がる越前大野城。「天空の城」の名にふさわしい光景がこの時季、大野市で見られる。出現するのは十月〜翌年四月の間の十数回。今季は二十七日までに五回見ることができた。その幻の絶景を目指して、城から一キロほどの犬山の撮影スポットには、二百人近くの人が集まる日もある。幻の城はどのような気象条件で出現し、なぜ人をひきつけるのか。天空の城に魅了された人たちに探った。 (正津聡)

◇奇跡の一枚

 広く知られるようになるきっかけは、アマチュアカメラマン佐々木修さん(68)=同市本町=が市美展に出した一枚の写真。竹田城跡(兵庫県朝来(あさご)市)の天空の城を意識し「霧が出る大野もいいのが撮れるはず」と撮影スポットを探し求め、通い続けて二〇一二年十一月、撮影に成功。翌年八月の市美展に出品した。

 佐々木さんは「紅葉の時季が一番。白い白山があり、日が昇るにつれて紅葉の赤と城の白壁が光るようになる」と話す。市美展に出した一枚は、まさにそのタイミング。撮影の瞬間を「シャッターを押す手が震え、大声で喜びを表したい感じだった」と振り返る。

 この奇跡の一枚を広め、天空スポットに多くの人が訪れられるようにしたのが市民有志による「ラピュタの会」。自らも撮影し「自分が住んでるとこが、こんなにすごいんや。日本中に広げんと」と、会長の川端嘉明さん(64)らが立ち上がり、山の所有者の許可を得て二、三人立つのがやっとだった撮影スポットを広げ、インターネットで画像を発信。市の補助金で登山道も整備した。簡易マップを作り、ツアー客にも対応している。

◇観光に波及

 市も天空の城をアピール。三大天空の城として竹田城跡、備中松山城(岡山県高梁(たかはし)市)と連携し、切手シートや城カードを作っている。地域おこし協力隊員で市商工観光振興課の清水孝啓(たかひろ)さん(24)は、昨シーズンから毎日、撮影スポットに上がり、安全管理に努めている。市外からの来訪者にパンフレットを配り市内観光にもつなげている。

 常連客からの信頼も厚い清水さんが、大野の天空の城の魅力に挙げるのは希少性。簡単に見ることができないだけでなく「何回見ても同じ景色がなく、空や紅葉、雪とのコントラストなど何回でも足を運びたくなる」と話す。広い大野盆地一面が霧に包まれ、城以外の人工物がない中にポッカリと浮かび上がるスケール感にも圧倒されるという。

◇出現の条件

 清水さんは出現傾向を明らかにしようと、毎日気象データを取っている。天気、前日との気温差、湿度、風速など。「予想するのは難しいんですが…」と前置きしつつ、出現する条件に「放射冷却で冷え込み、前日との気温差が大きい」「風が弱い」「湿度が高い」の三点を挙げる。データ的な根拠はないが「八がつく日に出ている気がします。(十一月)十八日は出そう」とも。

 佐々木さんは出現条件を「湿度が高く、移動性高気圧の中心が福井の上空に来たとき」と断言する。高気圧の中心であれば風が吹かず、湿度が高いために空気が冷えると霧が発生し、太陽が昇るにつれて気温が上がる上空から霧が晴れてくるのだという。

 佐々木さんと清水さんの出現条件にぴたりと当てはまった十八日、天空の城が見事な姿を現した。この日、三大天空の城、完全制覇となった兵庫県三田市の上原正大さん(25)は「ここは城が近く、ほかにない迫力がある。年に十回しか見られないものを見られてうれしい」と喜んだ。

 その場に佐々木さん、川端さん、清水さんも顔をそろえ、白山と青空、輝く紅葉と城の白壁の全てを兼ね備えた天空の城を目にした。その光景を前に、三人は声をそろえた。「ぜひ足を運んで、この光景を見てほしい」

 

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