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ふくい経済 シゴト咲く

時流に合う企業に 幸伸食品

「常に時代の流れに合わせて商品開発をしていく」と語る久保透社長=永平寺町の幸伸食品で

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久保 透(くぼ・とおる)社長 46歳

共感するお客増やす

 豆腐、ごま豆腐の製造販売会社の二代目として、永平寺町諏訪間ののどかな山あいから国内外の市場を見据える。多様化するニーズを見極め、品質本位の商品開発にまい進。物販とレストランを兼ねた直営のアンテナショップも手掛ける。三十人に満たない従業員を率いて掲げる旗印は「グローバル・ニッチトップ」。他社が手を出さない分野で世界に通用する企業を目指す。

 平日の昼、本社近くの小高い丘にある直営販売店「永平寺禅どうふの郷 幸家(さちや)」(同町京善)の駐車場には県外ナンバーを含む車が並んだ。物販スペースには主力の「ごまどうふ」や「湯葉とろ豆腐」「豆乳チョコ」などの商品が並び、年配客らが買い物を楽しんでいた。

 商品は白山水系の伏流水と厳選した素材、独自の製法で仕上げ、価格も比較的高めだ。「安くて選ばれるのは大手メーカーの商品。多少高くても我々の考え方に共感してもらえるお客を増やすことが、会社の継続につながる」と強調する。

 人口減少が進み、一人暮らしなど少人数世帯が増える中、豆腐業界では豆乳とにがりを容器に注入して固めて商品化する、日持ちする小分けの充填(じゅうてん)豆腐が主流を占めつつある。大手と価格や量を競っても勝ち目はない。付加価値や独自性で商機をつかむという方針にブレはない。

 商品だけでなく、流通の面でも他社との差別化を狙ったのが、二〇〇二年四月にオープンした先の直営販売店だ。「地方のメーカーが直営店を開くのは全国でもまだ少なかった」。消費者とじかに接することで需要を把握し商品開発に生かせるほか、スーパーなどに商品を納める場合より自社名の浸透が図れる利点がある。通販にも力を入れることで「店から通販へというお客の流れができてきた」と手応えを語る。

 「常に時代に合うものを開発し、売らないと生き残れない」と信念を語り「消費者ニーズは多様化している」と分析する。医師らと共同開発した、滑らかな食感のごま豆腐もその一例。高齢化で顧客の中心となる六十〜七十代の人口が増えるにつれ、飲み込みがうまくできない「嚥下(えんげ)障害」の人たちの要望が高くなっていた。

 今後はインターネットを通じた販売とともに海外市場に活路を見いだす。ヨーロッパでは大豆のような植物性タンパク質の評価が高まっており、菜食主義者の多いインドでは、人口そのものが増え続けている。海外での和食人気を追い風に、ネットや物流がさらに発達すれば市場として有望と見込む。「会社の理念や考え方を残しながら、時流に合わせて自社をどう変えるか。これありき、つまり、これしかないと思います」 (平野誠也)

 久保 透社長

 名古屋市生まれ。愛知県立東山工業高校(現愛知総合工科高校)卒。陶磁器メーカー勤務を経て幸伸食品に入社し、専務に。昨年11月から現職。1970(昭和45)年3月4日生まれ。

 豆腐、ごま豆腐 製造販売

 幸伸食品(永平寺町)

 1977(昭和52)年7月に義父の久保博志会長が創業。2002年4月、直営店「永平寺禅どうふの郷 幸家(さちや)」をオープン。従業員27人(パート含む)。資本金1000万円。

 

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