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ふくい経済 シゴト咲く

体臭悩み 応えたい ベネフィット−イオン

 上原 幹也(うえはら・みきや)社長 54歳

妻のさとみさん(左)と二人三脚で販路拡大などに取り組む上原幹也社長=福井市つくし野2丁目のベネフィット−イオンで

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妻と二人三脚で研究

 福井市つくし野二丁目の住宅街に昨年八月に構えた事務所は、一見すると普通の民家。しかし、足を踏み入れると実験室のような光景が広がる。体臭を除去する洗剤や体臭改善に向けた指導など、デリケートな悩みを解決する製品やサービスの開発拠点だ。

 「二、三時間着ただけなのに…」。ウエディングドレスやタキシードなど貸衣装のメンテナンスに携わっていた時、洗っても体臭が取れない衣装があった。百万円のドレスを廃棄処分にしたことも。

 工場は東北にあった。しかし、二〇一一年三月の東日本大震災で仕事が激減。本社のあった福井に家族で引っ越した。起業を考えたのは昨年七月。「体臭で悩む人って多い。相談した病院で『半年に一度、洋服を捨てるように』と指導された人もいる。体臭を取り除くノウハウを家庭用洗剤に生かせないか」と一念発起した。

 「大学二年の息子を、卒業させられなくなったらどうしよう」との不安も頭をよぎった。しかし、すぐに福井商工会議所の開業ゼミに入り、地元金融機関の支援も受けて一カ月で会社設立にこぎ着けた。

 「洗剤の知識も玄人ではない」と謙遜するが、付き合いのある洗剤業者に相談し、本や過去の論文などで臭いの原因となる物質を調べるなど奔走。妻さとみさん(49)と二人三脚で、それぞれの臭い物質に効く消臭成分は何か、研究を進めた。

 今年三月には、念願だった家庭用洗剤を発売した。衣類にたまった体臭や香水のにおいを消すもので、四十〜五十代向けや足用など年代や部位別にスプレータイプの八種類をそろえた。現在は、新商品のPRや商談で全国を飛び回る。

 仕事の推進力になっているのは周囲の応援に応えたいとの思い。「自分の決意を応援してもらって今があるからね。まだ応え切れていないから頑張らないと」。「思ったように売り上げが上がらない」と、東京や大阪のセレクトショップへの売り込みに加え、販売窓口を広げようと代理店での販売にも打って出た。気温の上昇とともに反応も好転。事務所にはサンプルを送るよう求める電話が相次ぐ。

 クリーニングや貸衣装などいろいろな場面で、人の体臭への悩みの深刻さを感じてきた。「体臭除去に向けた商品の需要はもっと伸びる。常識になる」と話す。洗剤だけでなく、体を洗うせっけんやシャンプーの開発も視野に入れる。消臭への情熱は消えそうにない。 (北原愛)

 上原 幹也社長

 東京都出身。高校を卒業後、大手紳士服メーカーに勤務した後、クリーニング業界へ。子育てのために岩手出身の妻さとみさんの実家近くへ引っ越して転職。染み抜き用の機械や溶剤を販売する福井の会社が仙台市で立ち上げた貸衣装メンテナンス部門などの責任者を経て福井で会社を興した。1962(昭和37)年3月21日生まれ。

 消臭洗剤の製造・販売 ベネフィット−イオン(福井市) 

 2015年8月に設立。イオンによる化学的消臭法で、体臭の悩み解決に向けた検査システムや体臭のタイプ別消臭洗剤の販売などを手掛ける。「イオンの恩恵」を意味する社名で自社の根幹にある技術力・開発力を前面に出した。資本金200万円。

 

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