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ふくい経済 シゴト咲く

懐かしくて新しい 冨士屋玩具

 藤井 繁広(ふじい・しげひろ)店主 58歳

「お客さんの相談に乗ることで、一対一の関係を築くことが大事」と語る藤井繁広さん=福井市順化1丁目の冨士屋玩具で

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客に合った商品提案

 「あなたからの相談は、店長・藤井の大好物」。店のホームページのトップに掲げた言葉通り、一人一人の客に合った商品の提案を売りにしている。

 地域の祭りや企業のイベントで、どうしたら子どもが喜ぶか。小学校で子どもたちに昔遊びを教える際、どのおもちゃを使うか。恒例行事でも時代が移り変わり、お客の悩みは尽きない。丁寧に聞き出した相手の状況と、多くの事例を見てきた経験から答えを出す。「店へ入ってきた時に困っていた人が、帰る時には問題を解決して幸せになっていてもらいたい」との思いからだ。

 それぞれのニーズに合わせるため、約四十平方メートルの店内には、同じおもちゃでも多様な品をそろえる。職人が手掛けた本格的な商品から、妻が手作りしたお手玉、人気キャラクターが描かれたもの、子どもが自分でシールを張りデザインする羽子板と多彩。特にこまは木芯か鉄芯かなど、大きく分けても十一種になる。一つずつ自身で回してみて「長時間回り続けるこま」と「暴れこま」に仕分けていく。

 こまとの付き合いは長い。終戦後、おもちゃに限らずさまざまな物を扱う商店を父親が創業。六歳の時から学校が休みの日には店番を手伝い、自転車で卸し先への配達にもついて行った。店で担当していたのが、こまの説明で、回し方を実演してみせていた。

 今でも「こまをうまく回せない」と困り顔で来店する子どもには一緒に回してみてアドバイス。「やっとうまく回せた子どもの笑顔といったら、もう何よりうれしい」と目を細める。

 珍しい種類も扱う中、店で人気だったこまの仕入れ先が取り扱いをやめたり廃業したりして、目の前が真っ暗になったこともある。だが「商売は穴掘りと一緒」と気を取り直した。「掘った穴が行き詰まっても、掘ったノウハウは残る」と。次は何が求められるか考え、別の「穴」を掘ってきた。

 昔遊びを薦めるのは、お年寄りから孫まで三世代で遊んでもらい「懐かしくて新しい」と感じてほしいから。祖父母が子ども時代に使った懐かしいおもちゃでも、孫と一緒に遊ぶ感覚は“新しい”という。

 二年半前には、自身にも初孫が生まれた。「自分の身の丈でしゃべれるようになった」と喜ぶ店主は、ますます客のために、親身になって相談に乗ってくれそうだ。 (鈴木あや)

 藤井 繁広店主

 福井商高から大阪経済大に進み、電気店や食堂で接客のアルバイトを経験。卒業後、大阪市内のおもちゃ店で3年半修業して父が創業した店を継いだ。1957(昭和32)年7月1日生まれ。

 冨士屋玩具(福井市)

 1948(昭和23)年、福井市幾久町付近で「冨士屋商店」を創業。56年、現在の同市順化1丁目へ移転。91年からおもちゃに特化して現店名とし、祭りや企業イベントでの景品、昔ながらのおもちゃの販売をしている。99年からはインターネットなど通販も始めた。

 

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