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ふくい経済 シゴト咲く

縫製 効率化を追求 ラコーム

 織田 昭一(おりた・しょういち)社長 68歳

「低コストで良質な新発想の製品を生み出していきたい」と話す織田昭一社長=勝山市のラコームで

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少量生産 迅速に対応

 「ダッ、ダダダダダダダダー、カチャッ…」。工場内はミシンの音以外は何も聞こえない。女性社員はきびきびと動き、縫い上げるとすぐに次の社員へ。資材置き場は整理され、通路に作業を妨げるものはなく、糸くずも落ちていない。

 勝山市滝波町一丁目の縫製会社「ラコーム」は、製品の九割が女性用スラックス。生産方式にトヨタグループのアイシン精機が開発した「TSS」(トヨタ・ソーイングマネジメント・システム)を導入。徹底的に効率化を追求している。連続して一点ずつ社員がリレー方式で加工するため、不良品を容易に発見でき、高品質を保てるという。

 先代から会社を引き継いだのは一九七八(昭和五十三)年。三十歳になったばかりだった。当時は一本のスラックスを作るのに三十人が携わっていた。時代は大量生産から多品種少量生産への過渡期。海外とのコスト競争で苦境に立つ縫製工場は国内でも少なくなかった。

 織田社長は「生産方法を効率化しなければ、地方の中小企業は生き残れない。根本的に変えるには新しい技術が必要だった」と、当時を振り返る。

 立ったままのミシンがけなど作業スペースを一新することで社員の移動距離や作業時間を短縮し、一人が複数の工程を担当するようにした。現場の不満の声には、丁寧に耳を傾けつつも懸命に説得した。こうした積み重ねが功を奏し、一着が縫い上がるまでの時間は大幅に短縮された。工場内の在庫は減り、三十人がかりの作業は十人で済むようになった。「いかに無駄をなくすか、社員の意識も変わった」という。

 もともと定評があった高い技術力に加え、顧客ニーズや少量生産への迅速な対応が可能になったことから、現在では百貨店ブランドや働く女性向けのキャリアブランド、スポーツブランドなどを手掛ける。女子プロゴルフの有名選手から依頼を受けた「ツアー用ウエア」の製作も多い。「良い点は業界を超えてでも取り入れる。異業種に学び、これまでのやり方を見直したのが転機だった」と話す。

 アパレルは流行や季節に左右されやすい業界。どれだけ良い製品を作っても、売れ残れば商品価値はない。「これからも過大評価は慎み、堅実で正確なものづくりを目指していきたい」と決意を語った。 (藤井雄次)

 織田 昭一社長

 勝山市出身。勝山高校卒業後、大阪の商社で縫製を学ぶ。帰郷後に前身の勝山被服に入社。30歳で社長に就任した。1948(昭和23)年1月5日生まれ。

 縫製会社 ラコーム(勝山市)

 1941(昭和16)年9月創業。91年に勝山被服から社名変更した。勝山市を拠点に、大野市の「サンスラックス」など、県内に4カ所の生産拠点を持つ。資本金2400万円。従業員は140人。

 

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