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ふくい経済 シゴト咲く

「豆腐以外」に挑戦 有限会社ヤマグチ食品

 佐津間 正志(さつま・ただし)代表取締役 56歳

「新しいことをどんどん始めて、知識も人脈も広げていきたい」と話す佐津間正志代表取締役=美浜町郷市で

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人との出会い大切に

 「豆腐と油揚げだけでやっていける時代は終わったんです」。豆腐製造加工の会社経営を妻の親族から引き継いだが、人口とともに減少していく売り上げを見て、二〇一〇年に菓子製造という新たな挑戦を始めた。豆乳を使ったドーナツとクッキーに始まり、ドライフルーツやゼリーなど幅広く手掛ける。 (米田怜央)

 前職はゼネコン会社。経営が傾いた中で、人事部として「人減らし」をする自分に違和感を覚え、一九九九年に退職した。進路を考えていたわけではないが、人事以外にも総務、経理と事務職全般を経験したことから同年、妻の親戚が経営していた今の会社に後継ぎ候補として入った。

 「豆腐のことなんて何も知らなかった」。入社後は慣れない営業や製造も担当した。徐々に仕事には慣れていったが、同時に業界の限界も感じるようになった。「組合の集まりなどに出ると『昔はよかった』という言葉がよく聞こえてくる。厳しいことはよくわかりましたよ」と振り返る。

 二〇〇六年に代表取締役となった後も厳しい環境は変わらない。豆腐以外のものを作ることを考え始め、日持ちし、遠くへの持ち運びも可能な菓子にたどり着き、地域の特産である福井梅を組み合わせることを考えた。

 購入したスチームオーブンのメーカーにアドバイスを受けながら菓子作りに励んだ。本業の豆腐製造をおろそかにはできず、仕事量は大きく増えたが、努力のかいあって、完成したドーナツは上々のスタートを切り、ゼリーやケーキなどの新商品も次々に生み出した。

 「一つ新しいことを始めると、今度はその技術を別のものにどう生かせるかを考えられるようになる」と広い視野の大切さを説く。菓子製造のために導入したスチームオーブンを使って「油で揚げないあぶらあげ」も開発。本業にも生かしてみせた。

 満足はしていない。遠方の食品展示会にも積極的に足を運び、常に新しい情報を仕入れる。「環境はどんどん変わってくる。それより早く動かないと」。そのために人との出会いを大切にする。

 「豆腐・スイーツ・ドライフルーツ製造・販売」。会社の肩書は増えすぎて、名刺からあふれんばかりだ。「自分は『豆腐屋』じゃないからこだわりがないんですよ」と笑い「だからこそ何にでも挑戦できる」ときっぱり。次は何を作ろうか。立ち止まらず考え続ける。

 佐津間 正志代表取締役

 敦賀市出身。敦賀高校を経て静岡大学に進学。卒業後は、東京のゼネコン会社で18年間事務職を務める。1999年にヤマグチ食品に転職し、午前4時から豆腐・油揚げ製造に続き、昼前からは営業として働いた。2006年から前職での経営ノウハウも生かしながら代表取締役を務める。好きなお菓子はバームクーヘン。1959年10月4日生まれ。

 豆腐油揚製造、菓子製造 有限会社ヤマグチ食品(美浜町)

 個人経営だった豆腐・油揚げ店を1978年5月に法人化。2010年に、豆乳焼きドーナツと豆乳クッキーを製造開始。翌年、福井梅と東浦みかんを使ったゼリー、13年にはドライフルーツ作りにも取り組んだ。特製の菓子は同町の「五湖の駅」や若狭町の「道の駅三方五湖」、オンラインショップなどで購入できる。資本金1000万円。従業員14人。

 

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