トップ > 日刊県民福井から > 福井発 > 記事

ここから本文

福井発

精神医療映画で考える 「夜明け前」100年前の医師・呉秀三描く

福井メトロ29日から上映

映画「夜明け前」の上映を企画した幸信歩准教授(左)と今井友樹監督=福井市の福井医療大で

写真

 約百年前、日本の精神医療の先駆者として精神障害者の待遇改善に奔走した医師・呉秀三(くれしゅうぞう)(一八六五〜一九三二年)を描いた映画「夜明け前」が九月二十九日から二週間、福井市順化一丁目の福井メトロ劇場で特別上映される。昨年末に大阪府寝屋川市、今年四月には兵庫県三田市で精神障害者の監禁事件が明らかになった。上映を呼び掛けた福井医療大(福井市)の幸信歩(ゆきしほう)准教授(51)は「無意識のうちに精神障害者を遠ざける精神風土は、百年前から変わらないのではないか」と訴える。 (藤共生)

福井医療大の幸准教授「関心を持って話し合いを」

 芸州藩(広島県)の藩医の息子である呉は、欧州留学後、三十六歳で東京帝国大精神病学の教授に就任。巣鴨病院医長になると、精神障害患者の手かせと足かせを外すなど、先進的な医療に取り組んだ。

 呉は一九一八(大正七)年、自宅に精神障害者を監禁する「座敷牢(ざしきろう)」の実態を調べた報告書「精神病者私宅監置(したくかんち)ノ実況及ビ其統計的観察」を発表。「わが国十何万の精神病者は実にこの病(やまい)を受けたるの不幸の外に、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし」と述べている。

 映画は同書の発行から今年で百年に当たるのを記念して、障害者向け作業所の全国組織「きょうされん」と日本精神衛生会が共同で制作した。監督には記録映画の若手実力派である今井友樹さん(38)=岐阜県出身=を起用した。

 今井さんは、呉の研究者や座敷牢問題を研究する大学教授らにインタビュー。呉の行動の意味や背景に迫った。「報告書を読んで僕自身、無関心ではいられなくなった。座敷牢に閉じ込められた人たちの職業、年齢、家族、牢の間取り、拘束の様子。映画では現在の状況はあえて描かなかった。呉の問題提起を、皆さんも今一緒に考えてほしい」と話した。

 近代日本の精神科の歴史を研究する幸准教授は、今年五月に映画の試写を見た。観客の半分以上が専門外の人たちだったことに驚いたという。精神障害への関心の高まりを実感し、福井での上映を思い立った。「福井では精神障害について話すことがタブーだと感じる。すぐに答えは出せなくとも、せめて関心を持って話し合えれば」と期待を込めた。

 上映は九月二十九、三十日は午後一時から。十月一〜十二日は午後七時から。一般千円。大学生以下と障害者八百円。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索