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「戦争の苦しみ」共感 南京戦元日本兵の子で県内在住兄弟 

夏淑琴さん(中)と対面する山本富士夫さん(左)、敏雄さん兄弟=中国・南京で(山本敏雄さん提供)

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訪中、遺族女性に謝罪

 一九三七(昭和十二)年の南京戦に従軍した鯖江三六連隊元兵士の息子である山本富士夫さん(78)=福井市、敏雄さん(69)=鯖江市=の兄弟が今月、中国・南京市の南京大虐殺記念館を訪問し、南京事件で家族七人を殺された夏淑琴(かしゅくきん)さん(89)と対面した。涙を浮かべる夏さんと抱き合ったという敏雄さんは、帰国後の取材に「殺した側、殺された側を超えて苦しみは共感できると感じた」と語った。 (藤共生)

 山本兄弟の父・武さんは三七年から三九年まで中国で従軍し、その様子を日記に残した。これを基に晩年には手記を執筆し、死後に兄弟が「一兵士の従軍記録」として出版した。手記や日記には、捕虜や住民を殺害したことが記されており、兄弟は父の加害の苦しみを語り継いできた。

 敏雄さんが昨年十二月、福岡市で講演した際、来訪していた南京大虐殺記念館の凌曦(りょうぎ)副館長が聴講。今月十一日、同館に兄弟二人を招いた。敏雄さんは南京市の歴史学者や学芸員、報道関係者ら約五十人を前に講演。父親の加害体験を緊張の面持ちで話した。二人は「一兵士の従軍記録」を館に贈呈し、夏さんらに深々と頭を下げた。

 事件当時八歳だった夏さんは、父母と祖父母、姉二人、妹を目の前で日本兵に殺害されたという。涙を流して苦しみを語り、シャツをめくって銃剣による傷痕を見せてくれた。夏さんは「あなたたち兄弟はとてもいい人だ。悪いのは日本軍政府だ。最高責任者がここに来て謝ってほしい」と大声で訴えたという。

 夏さんの姿を見て敏雄さんは「心の内の戦争は、本当の意味ではまだ終わっていない」と感じた。富士夫さんも「迫力があった」と振り返った。

 敏雄さんは「加害者の子として、父のつらい思いをぜひ知ってほしかった。父の話を聞いた以上、伝える責任がある。戦争の罪悪をしっかり見てほしい。これは被害、加害の立場を超えて同じことが言えると思う」と語った。

 

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