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「加古少年の絵日記」本に 戦争記録として見て

小学校時代の思い出を描いた絵日記を手に笑顔を見せる加古里子さん=藤沢市の自宅で(本人提供)

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加古里子さんの絵日記を書籍化した「過去六年間を顧みて」

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鯖江連隊出征見送り 

父親からの手ほどき 

 越前市出身の絵本作家加古里子(かこさとし)さん(92)が、小学生の時につづった絵日記が書籍化された。タイトルは「過去六年間を顧みて」(偕成社)。故郷での友人とのやりとりや父親との思い出などが鮮やかに描かれている。 (山口育江)

 少年時代は戦争と隣り合わせだった。一年生の時、陸軍鯖江歩兵第三六連隊の出征を見送りに行った。町から連隊の出発を見送るようにと指示があり、駅に出て一斉に「万歳!」とやった。しかし、こちらは騒いでいるのに兵隊も馬もしょぼんとした顔。幼いながら「出征を見送るのは寂しいものだ」と感じた。

 加古さんが特に思い出深いのは、古里を離れ、東京へ向かう東海道線の旅。絵日記には、眼鏡をかけた父に絵の手ほどきを受けている様子を、車窓から見える美しい景色と共に描いている。

 父親と初めて一緒に絵を描いたのがうれしかったという。周囲の山々や太平洋、富士の雄姿をクレヨンで紙に写し取ろうとした。「僕が絵がうまくなったのはこの時から」と振り返っている。

 絵日記は、卒業が近づいた一九三八(昭和十三)年に描いた。ずっとしまっていたが、二〇一五年に藤沢市の自宅の荷物を整理していて見つけた。

 出版のきっかけは、偕成社の編集担当者が加古さんの自宅で絵日記を目にしたこと。「絵の工夫やタッチが素晴らしい。加古さんの源流」と感動し、書籍化を勧めた。

 加古さんは「何かの参考になれば良いと思った。出版していただくのはありがたい限り」と恐縮しながら出版の話を受け「こんな昔の物がよく残ったなと思う。戦争の時代を子どもの目で見た記録の一つとして見ていただければ」と話している。B5判、百五十一ページ。千六百円(税別)。全国の主な書店で販売している。

 加古里子(かこ・さとし) 本名・中島哲(さとし)。1926(大正15)年、今立郡国高村(現越前市)生まれ。7歳で上京し、48年に東京大工学部卒業。絵本「だるまちゃん」「からすのパンやさん」シリーズで知られる。越前市のかこさとしふるさと絵本館名誉館長。絵本の世界をイメージした遊具をそろえた同市武生中央公園の監修を担当。神奈川県藤沢市在住。

 

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