発信!「昇龍道」の魅力 | 考えよう!昇龍道のおもてなし
第6回 地域活性化リレーシンポ in 浜松

 中部北陸9県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野、石川、福井、富山、滋賀)が官民一体となって外国人観光客を誘致する「昇龍道プロジェクト」のシンポジウムが、去る7月16日、浜松市のアクトシティ浜松で開催された。6回目を迎えた今回は、静岡県で初の開催ということもあり、昇龍道の東の玄関口となる静岡県の役割や課題について、活発に意見が交わされた。

主催者挨拶
中日新聞東海本社代表 佐藤 修造

外国人観光客が足をとめ、魅力に触れる東の玄関口に

 中部地方の玄関口と言えばセントレアや名古屋駅などがあり、静岡県は「東の玄関口」と言えます。2020年には東京五輪開催が決定し、羽田空港の国際化もより充実するため、首都圏に降り立つ外国人は今後ますます増えるでしょう。彼らが、車窓から富士山を眺めながら西へ素通りしてしまうのではなく、ここで一度泊まっていただき、浜松、そして静岡の良さを十分に満喫していただきたい。幸いこの浜松を中心とした遠州は、観光資源に恵まれています。このシンポジウムを通して、有意義な提案がされることを期待しています。

来賓挨拶
静岡県副知事 難波 喬司氏

地域の活力維持のため、すそ野が広い観光産業は重要

 我が国は人口減少社会を迎えていますが、地域の活力をどう維持していくかがテーマとなるなか、もっとも注目されているのが「観光」です。産業としての観光は、輸送業や小売業などに関連し、非常にすそ野が広く、経済効果が極めて高いと言われています。本県としても、中国や韓国、台湾をはじめ、経済発展著しい東南アジアに向けて積極的な観光誘客を進めています。また東京五輪で世界各国から多くの外国人が来日されることをきっかけに、富士山をはじめ、浜名湖、南アルプス、韮山反射炉、伊豆半島ジオパークといった、歴史的、文化的景観を備える観光資源をPRし、各県と協同で誘客活動を展開していきたいと考えています。

来賓挨拶
浜松市長 鈴木 康友氏

滞在を意識したインバウンド事業の強化進める

 浜松市はゴールデンルートの中にあるということで、外国人の宿泊者が昨年は県内最大、全国的に見ても多い地域です。しかし彼らのほとんどが、一泊するとすぐに移動してしまうため、滞在を意識したインバウンド(※1)事業に力を入れています。台湾の台北市や中国浙江省の杭州市と観光交流協定を結んだのもその一環です。杭州市といえば世界文化遺産の西湖が知られていますが、浜松市には浜名湖があります。西湖の遊覧船を楽しむ中国人の姿を見て、浜名湖の遊覧船に乗っていただければもっと満足してもらえるだろうと感じました。すでに、高山市や鳥羽市と広域連携に取り組んだ実績もありますが、今後も、観光交流協定を結んだ海外諸都市からの誘客を促進するため、官民一体となり観光誘客に取り組んでまいります。

(※1)インバウンド=外国人旅行者を自国へ誘致すること。またそのための取り組み

後援/
中部運輸局、北陸信越運輸局、中部経済連合会、北陸経済連合会、昇龍道プロジェクト推進協議会、名古屋鉄道、ANA、中部国際空港、JTB中部
協力/
日本観光振興協会中部支部、中部広域観光推進協議会
特別協力/
テレビ静岡

基調講演: 地域の魅力をアジアの若者に

時代はニューツーリズムへ   地域を知り、多文化共生の教育を


土居 繭子(どい・まゆこ)氏

静岡産業大学 情報学部 専任講師


静岡県藤枝市出身。2010年9月静岡県産業大学情報学部非常勤講師。2012年4月より現職。2012年8月より大学ネットワーク静岡(現ふじのくに地域・大学コンソーシアム)の助成を受け、「新たな視点での静岡インバウンド戦略−茶のブランドとニューツーリズムで地域活性化を目指す−」と題して研究を発表。

 2003年に始まった「ビジット・ジャパン・キャンペーン」以降、訪日外国人数は飛躍的に増加。昨年には一千万人を突破しました。静岡県においても、富士山静岡空港の開港などにより、海外からの観光客をさらに呼び込める環境になっています。しかし、県の観光客数は1988年から横ばい。また、韓国や中国、台湾などからの観光客が増加傾向にある一方で、年齢別では60代が約20%と最も多く、20〜30代の旅行離れが顕著です。そのため、私は海外の若い世代に静岡県の魅力を的確にアピールする必要があると考え、2012年、アンケート調査やモニター調査などによる研究を行いました。

 アンケート調査は、県内の大学生386人を対象とし、その内、留学生は154人、日本人学生は232人。例えば、「旅行したことがある場所」に対する回答として、留学生で最も多かったのは「富士山」で47.4%、次いで「浜松」「伊豆」。日本人学生では「伊豆」が最も多く60.5%、「浜松」「熱海」が続きました。また、「旅行したい場所」として留学生が挙げたのは「富士山」「伊豆」「浜松」、日本人学生は「伊豆」「熱海」「浜松」でした。残念ながら「訪れたい場所がない」という回答も少なからずありました。この結果から分かったことは、留学生と日本人学生の回答には明確な差があり、日本人に対する観光戦略をそのまま外国人に取り入れることはできないということ。同時に、県内の観光地が地域の魅力を発信しきれておらず、新たな魅力を訴求する必要があるということも分かりました。若い世代の多くが「旅行の情報源」として、テレビや雑誌・書籍より「インターネット」や「口コミ」を活用していることも見逃せない結果でした。

アンケート・モニター調査の研究成果を発表する土居氏
アンケート・モニター調査の研究成果を発表する土居氏

 留学生25人に対し、1人1万円を予算とした県内の日帰り旅行を計画・実施してもらいました。その結果、浮かび上がった問題点は、情報収集段階においても旅行中においても「多言語での情報が少ない」ということ。また、バスやタクシーの乗り方が分からない、電車であっても時刻表の見方が分からないといった「移動手段の難しさ」を指摘する意見や、中には「外国人と分かった途端、態度が冷たくなった」という声もありました。

 団体客の中心の「マスツーリズム」から、今や地域の資源を活用し、体験型・交流型の要素を取り入れた「ニューツーリズム」の時代。アジアの若者に静岡に来て楽しんでもらうためには、多言語での情報を充実させることが不可欠です。同時に、地域の人が誰でもガイドになれるようなおもてなしも必要です。そのためには、自分たちが生活する地域の魅力を知る教育、各国文化の相互理解を推し進める教育も重要であると考えています。

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