9月1日(土)2日(日)、名古屋スパイラルタワーズにおいて「中日健康フェア2018」が開催されます。
これに先立ち、注目の高い講座について、講師の先生にお話を伺いました。
今回は肝がんの原因となる「ウイルス性肝炎」と、生活習慣が原因となる「脂肪肝」についてです。
95%が治るC型肝炎は、 陽性がでたら専門医へ
名古屋大学消化器内科学 講師 石上 雅敏 先生
肝がんの主な原因となるB型・C型ウイルス性肝炎は、今では薬物療法で、病気の進行を抑えることができるようになりました。特にC型肝炎ウイルスは、感染すると約70%が慢性肝炎に進行し、放置すれば肝硬変や肝がんを発症しますが、現在は「飲み薬」で高率にウイルスを排除できるようになってきています。
かつて治療の中心が「インターフェロン」だった頃は、肝硬変の患者さんや、高齢の患者さんは治療を受けることができず、副作用が重いために途中で治療を断念する人もいました。しかし、飲み薬が登場してからは、重篤な副作用も少なく、高齢者や初期の肝硬変の人も治療を受けることができ、90%以上が治癒するようになりました。
さらに近年登場した治療薬は、8〜12週間の服用で済むようになり、従来治療の難しかった人や、以前飲み薬が効かなかった人にも効果が期待できます。
これによりC型肝炎は今では95%以上の人が治る病気となりました。ただし、肝炎でダメージを受けた肝臓がすぐに回復するわけではないので、肝がんのリスクが全くなくなるわけではありません。治療後も定期的に専門医のもとで、肝臓の状態を調べることが大切です。
一方、治療は進化しても、検査を受けず肝炎ウイルスに感染していることを知らない人が20〜30万人、知っていても受診しない人が50〜100万人いるとされています。これらの人は、自覚症状がないまま肝硬変、肝がんへと進行する危険性があります。
講座では、C型肝炎治療の飛躍的な進化を知ってもらうとともに、誰もが一度は肝炎ウイルス検査を受け、陽性が出たら肝臓の専門診療科を受診して、正しい診断と適切な治療を受けることの大切さを伝えたいと思います。
肥満が肝がんの原因に!? 「脂肪肝」という第二のリスク
愛知医科大学医学部内科学講座 教授 米田 政志 先生
ウイルス性肝炎以外に肝がんの原因として近年注目が高まっているのが「脂肪肝」です。今や成人男性の3人に1人が脂肪肝といわれ、女性も更年期に女性ホルモンが減少すると一気に増えてきます。脂肪肝とは肝細胞の10%以上を脂肪が占めた状態で、過食が主な原因となり、飲酒歴がなくても発症します。かつては軽い病気と思われていましたが、一部の脂肪肝は放置すると肝硬変や肝がんへと進行することがわかりました。
さらに、高血糖とも相関し、糖尿病の発症につながります。糖尿病になると心疾患やがんになるリスクが高まることがわかっていることから、脂肪肝の改善は肝がん予防だけでなく、その他、命を脅かす深刻な病気の予防にもつながってきます。
現在、脂肪肝を治す治療薬はありませんが、自助努力で改善が可能です。脂肪肝は肥満、高血糖、高血圧、脂質異常といったメタボリックシンドロームを伴うことが多いので、生活習慣を改善し、メタボ解消を目指します。ただし、過度な食事制限や激しい運動はかえって体調不良の原因となり逆効果です。食事は内容と量を見直すことから始め、運動も毎日30分程度のウォーキングや、少しでも階段を使うことを心掛けることから始めましょう。筋力をつけることも大切ですが、テレビを見ながらスクワットをする程度で十分です。無理なく続けられることが何より大切です。
講演では脂肪肝と肝がんの関係について紹介します。誰にもリスクのある身近な病気ですから、正しい知識を持って、予防に取り組むきっかけにしてほしいと思います。
中日健康フェア2018
9/1(土)・2(日)9:30〜17:00 名古屋医専 総合校舎スパイラルタワーズ
石上 雅敏先生・米田 政志先生の講座は 肝硬変・肝臓がんの予防につながる 肝炎の最新治療法
入場無料・定員220名
9月2日(日)13:00〜15:00
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【座長】藤田保健衛生大学 肝胆膵内科 教授
- 吉岡 健太郎先生
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【B型肝炎について】名古屋市立大学大学 院医学研究科 ウイルス学・ 肝疾患センター 教授
- 田中 靖人先生
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【C型肝炎について】名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学 講師
- 石上 雅敏先生
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【脂肪肝について】愛知医科大学 医学部 内科学講座 教授
- 米田 政志先生
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