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中日産業技術賞 特別奨励賞

富士特殊紙業 人と環境に優しい水性グラビア印刷

2012年12月4日 朝刊から


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「人や環境にやさしい」を実現した水性印刷機=愛知県瀬戸市の富士特殊紙業で

水性印刷 より美しく

 スーパーの店頭に並ぶ菓子や乳製品などの食品には、食欲をそそる色鮮やかな包装が目立つ。その印刷は現在、有害な有機溶剤を含んだ油性インクが主流だが、富士特殊紙業(愛知県瀬戸市)は水性グラビア印刷を開発した。従業員の健康被害や環境汚染を防ぐだけでなく、より美しい印刷も可能になり、一石二鳥となった。

 包装用のプラスチックフィルムに図柄を印刷する際、従来は顔料をトルエンなどの有機溶剤で溶かした油性インクを使う。だがトルエンは人体に有害で、工場内は防毒マスクが必須。工場の外へ出さないよう回収して燃やすため、大量の二酸化炭素も発生する。

 富士特殊紙業は1996年、インクやフィルムのメーカーと共同で、顔料を水とアルコールで溶かす水性インクの研究に着手。

 水性インクは水をはじく性質があるフィルムに転写しづらいばかりか、乾きにくいのも難点だった。そこで、フィルムの表面を特殊加工し、インクがのりやすいように改良。さらに印刷版のくぼみを浅くしてインクの量を減らし、乾きやすくした。くぼみの数を増やして、きめ細かな印刷も可能にした。

 「難しい挑戦だったが、工場が抱える問題を一気に解決できた」と杉山仁朗社長(70)は自信を深める。研究開始から10年以上たち、売り上げの7割超を水性印刷が占める。

 新たに開発したインクやフィルムは他社メーカーが製造販売しているが、特許の使用料を取っていない。「多くの会社がかかわり、業界として水性印刷の技術を高めたい」と普及に力を入れる。 (石井宏樹)

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