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中日産業技術賞 経済産業大臣賞

トヨタ自動車「燃料電池車ミライ」

2015年12月1日 朝刊から


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経済産業大臣賞に選ばれたトヨタ自動車のミライと開発陣=愛知県豊田市で

水素社会への第一歩

 その名の通り「未来」からやってきた車だ。トヨタ自動車が世界に先駆けて市販した燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」は、燃料の水素と空気から取り込む酸素を化学反応させてできた電気で走り、出すのは水だけ。開発責任者の田中義和さん(54)は「100年先の水素社会へスタートを切る車にしたい」と語る。

 トヨタは1992年、FCVの開発に本格着手した。スポーツタイプ多目的車(SUV)で試作を重ねてきたが、「エコカーは普及してこそ意味がある」(田中さん)と、市販第1号はセダンに決めていた。ただ、ガソリン車のエンジンに当たる燃料電池システムの小型化が課題だった。

 燃料電池は、電極の入った「セル」と呼ばれる厚さ1.3ミリの板を370枚重ねている。1枚1枚で発電を行うには適度な湿り気が欠かせず、これまでは加湿器を取り付けていた。その分、システムが大きくなっていた。

 FCセル設計グループ長の中路宏弥さん(44)は「発電で生じる水をうまく制御できれば、加湿器が要らなくなる」と、立体的な格子状の流路で水を循環させる仕組みを開発した。部品メーカーと協力し、世界で初めて加湿器をなくし、セダンに搭載可能な小型化と低コストを果たした。

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 大気の700倍の圧力にも耐えられる水素タンクも自社で開発した。システム開発担当の木崎幹士さん(56)は「重要な技術は自分たちの手でつくるのが、トヨタのDNA」と胸を張る。

 発売から間もなく1年。1台1台を手作りする今は年700台の生産能力だが、2016年に2000台、17年には3000台に増やす。20年にFCVを年3万台売る目標もある。田中さんは「手を緩めることなく、期待に応えていきたい」と前を向く。(平井良信)

 ミライ トヨタ自動車が2014年12月、世界で初めて一般向けに発売した燃料電池車。1回の水素充填(じゅうてん)時間は約3分で、ガソリン車並みの約650キロを走行可能。価格は723万6000円だが、国の補助金などを受ければ500万円程度。15年秋に欧米でも販売が始まった。

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