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中日産業技術賞 経済産業大臣賞

シャープ・半導体エネルギー研究所 酸化物半導体採用の液晶パネル「IGZO」の量産化

2013年12月3日 朝刊から


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シャープの省電力液晶「IGZO」を生み出した松尾拓哉リーダー(前列左)と開発チーム=三重県亀山市で

スマホ長持ち 液晶革命

 11月に発売されたシャープ製のスマートフォンは「余裕で3日間使える」がうたい文句。優れた省電力性能の鍵は、液晶画面に使われたIGZO(イグゾー)技術だ。

 一般的なスマホの液晶画面は、表示を制御する「薄膜トランジスタ(TFT)」から電流が漏れやすく、静止画を表示するには1秒間に60回ほど信号を送る必要がある。常時電源オンの状態でバッテリーが減りやすい。

 一方、IGZOの液晶画面は電流の漏れが極めて少なく、静止画の表示なら1秒間に1回の信号を送ればよい。電源のオン、オフを繰り返す液晶の「アイドリングストップ」の形で、消費電力を従来の5分の1から10分の1に抑え、スマホの電池が長持ちする。

 5年ほど前、シャープの開発チームがIGZOのこうした特性を見つけた。だが、当時のIGZOは安定性に欠け、製品にはできなかった。

 2009年8月、シャープと20年ほど液晶を共同開発している半導体エネルギー研究所(神奈川県厚木市)の代表取締役、山崎舜平さん(71)が、たまたま試作品を電子顕微鏡でのぞいたところ、原子が整然と並んだ部分を発見。それをきっかけにIGZOの結晶化に成功する。山崎さんは「いくつもの幸運が重なり量産につながった」と語る。

 両社が共同開発を進め、12年4月から三重県亀山市のシャープ亀山第二工場で本格的に生産を始めた。同年11月に発売したIGZO搭載のスマホは発売後5カ月で約60万台を売るヒットに。業績が悪化したシャープにとって、経営再建につながる中核商品として期待されている。

 シャープ開発チームのリーダー、松尾拓哉さん(47)は「液晶業界で10年に一度の変革。半世紀以上シリコンが主役だった半導体の歴史にも変革をもたらす」と意義を語る。(稲田雅文)

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 IGZO インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)の酸化物(O)を使った半導体。これを使って液晶パネルの量産化に成功したシャープが2011年11月に商標登録した。省電力性能に優れ、従来の液晶パネルの約2倍の高精細で画像が美しく、タッチパネルの感度も良い。次世代の有機エレクトロルミネッセンス(EL)パネルにも応用され、曲がる画面が試作されている。

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