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中日産業技術賞 経済産業大臣賞

ジェイテクト 豊田中央研究所 DLC―Si被覆電磁クラッチを用いた小型・高性能4WDカップリングの開発

2007年11月30日 朝刊から


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経産大臣賞を受賞した4WDカップリング(手前)とその開発チーム=名古屋市中村区のジェイテクト名古屋本社で

燃費向上 大型車でも

 ジェイテクトの4WD(四輪駆動車)カップリングは、豊田中央研究所と共同開発した新クラッチを用いることで、四駆車の大幅な燃費向上と安定走行を可能にした。

 高燃費という四駆車の欠点を補うため、ジェイテクトは1998年に「ITCC」という名の電子制御カップリングを開発した。安定して走っている状態では後輪に伝えるパワーを低減。常にフルパワーがかかっている状態と比べると後輪車軸の負担は軽減された。後輪の車軸を細くできたことで車両は30キロほど軽量化。エンジンの効率もよくなり、燃費は約5%向上した。自動車メーカー各社は毎年1−2%ずつの燃費改善を目指しており、飛躍的な向上といえる。

 ただ、ITCCを同じ大きさのまま大型車に搭載するには、クラッチ板の耐久性を上げる必要があった。そこで、ダイヤモンドに近い特性を持つ炭素で、摩耗に強いDLC−Si(シリコン含有のダイヤモンドライクカーボン)の3ミクロン(1千分の3ミリ)の膜を表面に蒸着させ、耐久性を8倍以上にすることに成功した。

 DLCの原料をガス状にし、クラッチ板を積み重ねた炉にガスを充満させることで、一般的な成膜方法の6倍の大量加工を実現。膜を張る板の表面に微細な凹凸処理を施し、はがれにくさも4倍程度になった。

 クラッチ板同士の摩擦で振動やノイズを発生しないよう、こすれ合う両面の凹凸や溝などの形状をミクロン単位で設計。原子レベルで作用を解析して専用の潤滑油も開発した。

 環境対応が重要性を増す中、2004年の生産開始以来、日米韓の大手各社が採用。現在、電子制御の動力伝達システムの世界市場で54%のシェアを持つ。ジェイテクトの酒井俊文カップリングシステム技術部長は「対応車種の大幅な拡大で、環境負荷の低い四駆車の増加に貢献できた」と話している。

4WDカップリング

四輪駆動車に装着される駆動系部品。車の走行状態に応じて後輪に最も適した動力を伝達する。クラッチは、カップリングの中で重要な役割をしている。大型車では通常、クラッチにかかる負荷も大きいためクラッチ板の枚数が増え、カップリングも大型になっていた。装置の小型化には、耐久性の高いクラッチ板の開発が必要だった。

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