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中日産業技術賞 中日新聞社賞

デンソー エコカー向け空調システム

2017年12月1日 朝刊から


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電動車の車内を効率よく暖める空調システムを開発したデンソーの遠藤義治さん(左から2人目)ら=愛知県刈谷市のデンソー本社で

暖房つけても走行長く

 氷点下10度の中を電気で走行しても、省電力で車内を暖める。自動車部品大手デンソー(愛知県刈谷市)の車内空調システムは、電動化が進む次世代エコカーが抱える「暖房問題」の解決を目指して開発された。エアコン技術一部の遠藤義治開発四課長(49)は「冬の暖房で走行距離が短くなる、との不満を解消できる」と胸を張る。

 従来の車はエンジンの排熱を利用して暖房するが、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)は電気走行時に熱源となる排熱がない。消費電力が大きい電気ヒーターを使うため、走行距離を縮める原因になっていた。

 EV、PHVの普及には空調の消費電力を抑え、電気走行の距離を伸ばす必要がある。デンソーがまず着目したのは、家庭用エアコンで使われている「ヒートポンプ」だ。ポンプのようにくみ上げた空気中の熱を圧縮して高温にする技術で、自然界にある空気の熱を利用するため、少ない電力で効率よく暖められる。

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 ただ、外部の気温が低いと空気から受け取る熱も少なくなり、熱を移動させる媒体である「冷媒」の密度が下がり、暖房する能力が落ちる弱点があった。

 そこで、一度熱を手放した冷媒の一部を再び圧縮機に注入する技術「ガスインジェクション(気体注入)式」を開発した。圧縮機に注入する冷媒の量を増やすことでその働きを強め、通常のヒートポンプよりも多くの熱を車内に送り出せるようにした。気温5度で暖房をつけて走った場合、EVの走行距離が2割伸びた。

 トヨタ自動車が2月に発売した「新型プリウスPHV」に標準装備されている。2017年度の生産見込みは5万2800台。遠藤課長は「次は氷点下20度でも安定して使える空調を」と前を向く。(相馬敬)

 ヒートポンプ 空気中の熱を利用し、少ない電力で大きな熱エネルギーを得られる省エネ技術。圧縮すると高温に、膨張させると低温になる「冷媒」を使う。空気中の熱を集める「室外熱交換器」、熱を圧縮して高温にする「圧縮機」、冷媒の熱で空気を暖める「室内熱交換器」をパイプでつなげ、冷媒がその中を循環する。デンソーが東京電力などと共同開発した給湯システム「エコキュート」にも使われている。

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