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中日産業技術賞 中日新聞社賞

セーレン 繭由来新規機能性タンパク質素材セリシン

2006年12月8日 朝刊から



写真

(写真)絹織物(左)を洗浄した廃液から取り出すタンパク質素材「セリシン」の開発チーム=福井県鯖江市のセーレン鯖江工場で

 蚕の繭からとれる絹糸を覆うタンパク質「セリシン」。普通は絹織物の光沢を増すための水洗い作業「精練」で取り除かれ、廃液は産業廃棄物として捨てられる。セーレン(福井市)は「肌に優しい」天然素材として世界で初めて、セリシンを配合した化粧品や表面に定着させた繊維を商品化し、医薬品への応用にも挑んでいる。資源を有効利用する取り組みだ。きっかけは、精練に携わる女性たちの手肌がスベスベになることだった。調べると、洗い流されたセリシンが保湿性に優れていると分かった。

肌にしっとり 産廃“変身”

解説図

(解説図)セリシン製品ができるまで

 1988年に廃液からの抽出方法の研究に着手した。しかし、セリシンに関する論文や特許が世界的に少なく研究は手探り。「シルクの持つ自然の力を生かしたい、地球環境の保全にもつなげたいの一心」(開発研究第1グループの山田英幸部長)で、3年かけ独自の分離・精製方法を開発した。

 一つの繭からわずか0.1グラムか抽出できないセリシンは、かたくり粉のようにきめ細か。触っていくうちに肌にしっとりとなじんでくる。

 商品化の第1弾は、表面にセリシンを被覆加工した繊維素材。女性用下着や自動車用シート、眼鏡フレームなどへ利用した。細胞の老化を防ぐ抗酸化機能や、日焼けによる皮膚の黒ずみを抑える美白作用もあると分かり化粧品も売り出した。

 医療分野でも、牛海綿状脳症(BSE)で安全性確保が課題とされる牛の血清成分を代替する素材として、病気の診断薬に用いられる酵素の安定化剤などの開発を手がけている。

 関連製品の売り上げは順調に伸び続けており、絹織物から事業をスタートした同社にとって、セリシンは「神様からの贈り物」(川田達男社長)という。

(肩書きや販売実績は2006年12月8日掲載当時のもの)

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