トップ > 中日新聞社から > 表彰事業 > 中日文化賞 > 東山哲也氏

ここから本文

中日文化賞

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所教授 東山哲也氏

2018年5月3日 朝刊から


名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所教授 東山哲也氏

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所教授 東山哲也氏

植物の受精メカニズムの解明 食料問題の解決へ道開く

 顕微鏡をのぞくと、植物細胞が織りなす神秘の世界が広がる。「世界で誰も見たことがない現象を、この目で捉える。この感動が研究のモチベーションだ」

 研究者たちの頭を100年以上悩ませてきた、植物受精のメカニズムにまつわる謎を解き明かした。花を咲かせる被子植物は、雌しべについた花粉から管が伸び、卵細胞などからなる「胚のう」という部位に突き刺さり、精細胞を送り込んで受精する。この管が、なぜ迷わず胚のうを目指せるのかが分からないままだった。

 生きたまま植物の受精過程を詳しく観察する独自の解析技術を開発。卵細胞の隣にある「助細胞」から花粉管を誘引するタンパク質が出ていることを突き止め、この物質を「ルアー(誘うもの)」と命名した。

 山形県鶴岡市出身。山形大農学部で教授をしていた父親の影響で、生物学を志した。幼いころ、父親はよく研究室の学生たちを自宅に招いていた。「もの静かな父が、学生たちに囲まれ、とても楽しそうだった。自分の好きな研究をして、若い人たちと語り合う大学教員の仕事が魅力的に感じた」

 東京大に進学し、生物科学の研究にのめり込んだ。大学院生のころに始めた植物受精研究は、その後も追い続けるテーマとなった。

 植物受精の仕組みの解明は、厳しい環境でも育つ作物など品種改良に道を開く。世界的な人口増加を背景に、将来、深刻な食料不足が起きる危険性が懸念されている。「研究を通じて、食料問題の解決に貢献できたら」と意欲を燃やす。

 妻も研究者。家族とドライブや旅行に行くのが楽しみだ。名古屋市昭和区在住。46歳。(社会部・坪井千隼)

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索