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中日文化賞

名城大学大学院理工学研究科教授 吉野彰氏

2018年5月3日 朝刊から


名城大学大学院理工学研究科教授 吉野彰氏

名城大学大学院理工学研究科教授 吉野彰氏

リチウムイオン二次電池の原型の開発 IT社会 将来見据え挑戦

 1985年、後にIT革命の立役者となるリチウムイオン電池の原型を作り上げた。当初はデジタルカメラや8ミリビデオ、現在は携帯電話やノート型パソコン、そして電気自動車(EV)と、用途の広がりは今も世界を変えつつある。

 京都大大学院工学研究科を修了し、旭化成へ。1、2人の少人数体制で、新しいプラスチック素材の研究などに打ち込んだが、日の目を見なかった。10年ほどたったころ、ノーベル化学賞の白川英樹氏が発見した電気を通すプラスチック「ポリアセチレン」を使い、研究が盛んな新型二次電池への利用を考えた。そこで行き詰まり、たまたま会社の別部門で開発された炭素繊維を試したことが成功につながった。「材料メーカーに勤め、いろんな材料を試せたことが大きかった」

 自然が豊かだった大阪府吹田市で生まれ育ち、トンボやカブトムシ捕りが好きな少年だった。化学者への道を導いてくれたのが、小学校の担任だった女性教諭。科学者ファラデーの講演録「ロウソクの科学」を薦められ、燃える原理などを説明した内容に夢中に。河原でキャンプをした時に石を水中に入れたまま運び、「軽くなる」と言うと、教諭から「アルキメデスの原理だよ」と褒められた記憶は鮮明に残っているという。

 昨年7月、名古屋市の名城大大学院教授に。今は週1回、電池開発などをテーマにした講義のため、神奈川県藤沢市の自宅から名古屋に通う。「自分の経験を伝えるだけでなく、若い人を通じ、5年、10年先の未来予測をしたい」。30年前には想像もできなかったIT社会の現在。未来につながる、新たな発想を生み出すための挑戦を続けていくつもりだ。70歳。(社会部・安田功)

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