トップ > 中日新聞社から > 表彰事業 > 中日文化賞 > 西美緒氏

ここから本文

中日文化賞

元ソニー上席常務 西美緒氏

2018年5月3日 朝刊から


元・ソニー上席常務 西美緒氏

元・ソニー上席常務 西美緒氏

リチウムイオン二次電池の開発と実用化 新しい技術 次代に伝える

 小型で大容量な上、充電して繰り返し使えるリチウムイオン二次電池の開発と商品化に成功した。正極にコバルト酸リチウム、負極には急速な充電ができ、非常に軽いハードカーボンに着目し、安全性の確保を含めた技術確立に貢献した。

 愛知県立旭丘高校や慶応大工学部などを経て、ソニーに入社。専門で花形の半導体研究を希望していたが、燃料電池や音響機器の開発に取り組み、リチウムイオン電池の開発を任されたのは40代になってから。指示したのは、当時会長だった故・盛田昭夫氏。会長室に呼ばれ「どこもやっていない新しい物を作ってほしい」と背中を押された。負極材選びに苦戦したが、音響機器の開発時代、少しでも音質を良くしようと、素材探しに躍起になった経験が生かされた。「どんなことでも、しっかりやっておけば後に必ず役に立つ」と実感を込めて説く。

 名古屋市出身。東区の葵小学校時代は「ファーブル昆虫記」を読みふけり、金魚やブンチョウ、スズムシなど生き物に囲まれて育った。あずま中学校では生物クラブに入り、金魚の酸素吸入量と水温の関係を調べてみた。温度が低くなると動きが鈍る金魚の特性を、実際のデータとしてつかんだことに楽しさを覚えた。「おぼろげに科学者を志したのは、このころ」

 ソニー退社後の現在は、コンサルタント会社顧問として各地の企業を訪れ、電池開発を中心にした技術指導を続ける。日本で産声を上げ、世界に広がるリチウムイオン電池も、近年は安価な韓国、中国製の攻勢が激しい。「安易な価格競争ではなく、新しい技術を加え続けることが大切」。次代を担う技術者に奮起を促す。横浜市旭区在住。76歳。(社会部・安田功)

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索