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中日文化賞

狂言師、重要無形文化財保持者(人間国宝) 野村万作氏

2017年5月3日 朝刊から


狂言師、重要無形文化財保持者(人間国宝) 野村万作氏

狂言師、重要無形文化財保持者(人間国宝)
野村万作氏

狂言の向上、発展と80年にわたる舞台実績 難曲「釣狐」次世代へ

 深い情感をたたえた緻密で品格のある芸で、能と比べて低くみられていた狂言の地位を高めた。

 名人といわれた6世野村万蔵を父に持ち、3歳で初舞台。僧に化け、猟師に狐(きつね)狩りをやめさせようとする老いた狐を描く難曲「釣狐(つりぎつね)」を25歳で初演して以来、こだわり続ける。数度しか演じない狂言師が多い中、30回ほど演じている。

 上演するたびに新しい演出を取り入れ、芸を深めた。78歳のとき、面をつけず、紋付き袴(はかま)のみの“素”の形式で役の内面がにじみ出る至芸を見せ、絶賛された。

 「最初は父に習った型通り、狐の動きを素早く鋭く演じることを心がけた。体が思うように動かなくなって、役の中身を深めることに気持ちが入った。私が創り上げた作品。より深めて次世代へ伝えたい」

 穏やかな表情の中に、徹底した探究心や愛情、きまじめさがにじみ出る。

 名古屋には、自身主催の「万作を観(み)る会」や「名匠狂言会」と、年に2回は公演に訪れ、積極的に名作を上演。狂言の魅力を伝え続ける。昨年、名匠狂言会で演じた「川上」では、夫婦の愛情の機微をしみじみと演じ、心の奥底にしみる余韻を残した。

 今回の受賞を「年齢とともに、少しでも上を目指して芸を磨いていく。そんな舞台に向かう気持ちを認めていただいた」と喜ぶ。

 来年8月、東京の国立能楽堂側に求められ「釣狐」を再演する。「3年前、演じ納めたつもりでしたが…。5月まで待ってもらった返事を、4月にしてしまった。やはり『釣狐』にとりつかれてますね」と笑う。

 東京都練馬区在住、85歳。 (放送芸能部・加藤智子)

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