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中日文化賞

名古屋市立大学大学院医学研究科教授 杉浦真弓氏

2017年5月3日 朝刊から


名古屋市立大学大学院医学研究科教授 杉浦真弓氏

名古屋市立大学大学院医学研究科教授
杉浦真弓氏

不育症の原因究明と妊娠適齢期啓発への貢献 「常識」覆す現場感覚

 流産を繰り返す「不育症」の原因を究明する臨床研究に力を注ぎ、生殖医療の「常識」に疑問を投げかけてきた。原動力は多くの患者たちと向き合い、培った現場感覚だ。

 産婦人科医になって5年、「肉体労働」の慌ただしい日々を送る中、ライフワークを求め研究の道へ。当時、偶然再会した母校の名古屋市立大の教授に誘われたのが不育症研究だった。

 現場では、負担のかかる治療をしなくても最終的に出産できている患者は多かった。そんな日ごろの気付きや、有効とされてきた検査、治療への疑問を思い付くまま論文にした。

 流産を防ぐため受精卵の染色体異常を調べる着床前診断は、受けても出産できる割合は上がらない。従来、形成手術がされてきた子宮奇形の患者は、手術なしでも8割が出産できる−。

 不育症患者の多くは、適切な検査と治療を受ければ出産できる。流産のショックであきらめてしまわないよう、不育症の電話相談「豆柴ダイヤル」の開設など患者支援に力を入れる。妊娠の高年齢化で流産は年々増加しており、妊娠適齢期の啓発にも取り組む。「患者さんが流産を乗り越えて出産していくのがうれしい。流産は女性の働きにくさや差別など社会と密接に関係するのも研究を続けてきた理由の1つ」と語る。

 臨床研究の積み重ねが医療をつくってきた。「私たちが『分からない』と言うと患者さんは本当に悲しい顔をする。その気持ちが研究につながる」。10回以上も流産を繰り返す難治性患者の不育症の原因を、今も追い続けている。

 名市大の不育症研究センター長。データ解析と外来診療、水泳が好きな56歳。名古屋市南区在住。 (社会部・小椋由紀子)

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