トップ > 中日新聞社から > 表彰事業 > 中日文化賞 > 木下直之氏

ここから本文

中日文化賞

東京大学大学院人文社会系研究科教授、静岡県立美術館館長 木下直之氏

2017年5月3日 朝刊から


東京大学大学院人文社会系研究科教授、静岡県立美術館館長 木下直之氏

東京大学大学院人文社会系研究科教授
静岡県立美術館館長
木下直之氏

近代日本の造形表現再考と文化資源学の樹立 「美術」の領域広げる

 文化を「資源」と位置付け、過去の人々の暮らしを社会の創造に役立てる「文化資源学」のけん引者。従来は美術作品の枠外にあった掛け軸写真、生き人形、銅像といった民衆娯楽や造形物に幅広く目を向け「資源としての作品」の領域を広げてきた。「芸術としての評価は低くても、存在理由を探れば何かが見える。重箱の隅をつつけば、そこに穴があき、広大な世界が開ける」と声を弾ませる。

 浜松市出身。高階秀爾(たかしなしゅうじ)・東京大名誉教授の「名画を見る眼」を読んで美術研究の道へ。折しも自身が青年期を過ごした1970〜80年代には、美術全集の相次ぐ刊行により家庭に美術が浸透し、全国に美術館が開館していた。「本にたくさん赤い線を引き、美術について考える楽しさを知った。以後は時代とともに成長してきた」と振り返る。

 大学で西洋美術史を専攻したが、兵庫県立近代美術館の学芸員になり、初めて担当した地元日本画家の回顧展が転機に。「足元の日本について学び直そう」と思い立ち、日本近代美術を研究する「明治美術学会」に加わった。学芸員時代の企画展をベースにした著書「美術という見世物(みせもの)」で、油画(あぶらが)師や細工師、彫刻師らが活躍し、雑多な作り物に満ちていた見世物小屋こそ「美術の生まれ育った家」だと提言。東京大総合研究博物館に移籍後も、独自の視点で企画展を主導し、多くの著書を刊行した。

 4月、静岡県立美術館の館長に就任した。「美術館は展示物を通して人間と人間が向き合う場。『作品』という言葉に縛られることなく、落ち着いた大人の展覧会を」と構想を練る。神奈川県鎌倉市在住、63歳。 (静岡総局・西田直晃)

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索