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中日文化賞

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所拠点長 伊丹健一郎氏

2017年5月3日 朝刊から


名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所拠点長 伊丹健一郎氏

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所拠点長
伊丹健一郎氏

迅速合成触媒の開発と機能性分子の創製 ものづくり究極の匠

 炭素原子が、丸いベルト状に連なった新物質「カーボンナノベルト」。半世紀以上前に論理的に提唱されながら、多くの化学者の挑戦を退けてきた「夢の分子」を昨年9月、世界で初めて合成することに成功した。

 新たな炭素分子をこの世に送り出したと同時に、次世代ハイテク材料「カーボンナノチューブ」の高機能化にも道を開いた。「研究生活の集大成。だが今はもう、次に目が向いている」と意欲をみなぎらせる。

 「君の研究は美しい。フルスイングしなさい」。2005年、野依良治・名古屋大特別教授=01年ノーベル化学賞受賞=に、そう声をかけられ、京都大から名古屋大に移った。「名古屋大の有機化学は、ノーベル賞クラスの研究者がゴロゴロいる、とんでもないところだった」

 世界的な化学者がひしめく名大でやっていくため「世界でたった1つの研究をやらねば」と心に決めた。研究に没頭し、ナノカーボン類や触媒研究などで画期的な成果を挙げ続けた。「合成化学は究極のものづくり。分子をブロックのように組み立てる。誰よりもうまく組み立てる『ものづくりの匠(たくみ)』でいたい」という。

 後進育成にも力を入れる。研究室は別名「伊丹牧場」。学生たちは自由闊達(かったつ)な雰囲気の中、のびのびと研究に取り組む。雑談も交えながら活発に議論を交わす。「自分よりも優れた研究者をプロデュースしたい。自分が学生だったら、どんな環境がいいかを考えて、提供している」

 一番好きなものは「化学」と言い切る。それ以外では車、温泉、ラーメンを愛する46歳。名古屋市千種区在住。 (社会部・坪井千隼)

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