トップ > 中日新聞社から > 表彰事業 > 中日文化賞 > 藤田六郎兵衛氏

ここから本文

中日文化賞

能楽笛方藤田流十一世宗家 藤田六郎兵衛氏

2012年5月3日 朝刊から


能楽笛方藤田流十一世宗家 藤田六郎兵衛氏

能楽笛方藤田流十一世宗家
藤田六郎兵衛氏

能楽振興への貢献と舞台成果 中世へ一気に導く音

 現代を代表する能管の名手。芸能分野では、初の二代受賞となった。

 母方の祖父で師匠である藤田流十世の藤田六郎兵衛は1974年「中京能楽界への貢献と後進の指導育成」を理由に受賞した。その祖父のもとで幼少から跡取りとして笛を仕込まれ、才能を開花させた。通常より10年早く芸の階段を駆け上がり、27歳で家元となり、29歳で十一世を襲名した。

 藤田流は尾張徳川家お抱えの名門。室町後期から代々伝わる能管「万歳(まんざい)楽」を操り、空気を切り裂く強烈な音色で舞台、観客を一気に中世へと導く。

 家伝の奏法書、譜本をひもとき、秘技再興に取り組み、復曲能、新作能など能楽の重要舞台に、音楽面で参画してきた。技術、深い作品理解は群を抜く。

 近年の舞台成果は目覚ましい。昨年度は、能楽界最高の「観世寿夫記念法政大学能楽賞」を受賞。さらに東京で主宰する能楽公演「万歳楽座」は、演劇部門で文化庁芸術祭大賞に輝いた。

 とくに先代唯一の受賞歴である中日文化賞への思いは格別。「亡父(祖父)の33回忌の手向けになった」と喜ぶ。

 洋楽を学び、コンサート活動をする声楽家としての一面も。多彩な経験から培った広い視野と豊かな人脈。囃子(はやし)方の異流競演などまったく斬新な番組編成、豪華キャストの能楽公演を企画し、能楽の新たな魅力の紹介に尽力する。

 「何百もの試みをして、その中から後世に残すべきものを選ぶ。それが新たな伝統になる」。古風を守りつつ、打破する。異色の能楽師のチャレンジはやまない。58歳。名古屋市西区。(放送芸能部・長谷義隆)

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索