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静岡ニュース

記者が見た衆院選(下) 

投票所で一票を投じる有権者=浜松市中区で

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 −県内は浜岡原発を抱えるが、原発問題は争点にならなかったのか。

 記者A 浜岡原発の三十キロ圏内で、自民新人は原発にほとんど言及しなかった。主眼は景気対策。「世論調査などで住民が一番気にしているのは原発ではなく景気」というのが理由だった。浜岡廃炉を訴えた維新新人も、「脱原発」がどれほど浸透していたかは疑問だと感じていたようだ。

 記者B ある民主前職は、本紙立候補者アンケートの原発への問いで、「できるだけ早くゼロに」を選んだ。ほとんどの民主候補が党の方針に沿って「二〇三〇年代にはゼロに」を選んだ中、厳しい意見が目立ったのか、中部電力と中電労組から連絡があったらしい。その後何度か演説を聴いたが、原発の「げ」の字も口にしていなかった。

 記者C 別の民主前職は、浜岡原発再稼働には反対の立場を明言していた。だが公示後は、街頭で脱原発の話を全然しなくなった。選対幹部に聞くと「訴えたいのはやまやまだが、中部電力の労働組合がうるさいからできない」とのことだった。候補者の苦悩をかいま見た。

 −投票率は県内も前回から10ポイント近く下がり61・75%。事前の本紙世論調査では「投票に行く」と答えた人は、たとえば1区では「必ず」「できれば」を合わせて92%もいたのだが。

 記者D 大学生の取材では「友達と政治の話なんかしないし、とても身近に感じられない」「たくさん政党があって調べられない。適当に入れるより、行かないほうがまし」との声も。極端な意見だろうが、この大学の就職部長は「最近の学生は、友達グループのこととか、自分の狭い世界に閉じこもってしまう傾向がある。就活をする上でも、もっと社会のことに目を向けてほしいのだが…」と話していた。

 記者E 投票先に迷いながらも投票所に足を運んだ二十代後半の女性がいた。「中学時代に社会科の先生が『一票を大事にしろ』と熱く語っていたのを覚えていて、今でも何となく行かなくちゃ、と思っている」と話していた。こうした感覚は大切にしてほしい。

 A 小選挙区制度では死に票も多く、一票の格差是正はされないまま。やりきれなさはあるが、投票でしか意思は示せない。