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改憲発議に現実味

 改憲を目指す自民党と日本維新の会が議席を大幅に伸ばした。両党の合計で、衆院では改憲の是非を問う国民投票の発議の手続きができる三分の二以上の議席に達した。九条を象徴に、戦後の平和主義を支えてきた憲法は改定への一里塚を踏み越えることになる。

 自民党の安倍晋三総裁は十六日夜の民放テレビ番組で、衆院選公約に「憲法改正で位置づける」と明記した国防軍創設に関し「海外では自衛隊を軍だと説明している。矛盾をなくしていくのは当然の義務だ」と強調した。

 安倍氏は改憲の手順として、まず是非を問う国民投票の発議の要件を「衆参両院で三分の二」から過半数に引き下げる九六条の改定に取り組む考えを重ねて示した上で「維新にも理解してもらっている」と維新との連携に期待感を表明した。

 安倍氏が九六条を先行させようとしているのは、連立政権を組む公明党が九条改定に批判的なためだが、首相として敗北した二〇〇七年参院選でも「新憲法制定」を公約に掲げており、改憲への思い入れは強い。

 維新も石原慎太郎代表が就任したことで、改憲色をより鮮明にした。石原氏は現憲法の破棄が持論で、衆院選公約に「自主憲法制定」を盛り込んだ。石原氏は十六日夜の民放ラジオ番組で、改憲での自民党との協力について「新しい憲法をつくる必要がある」と前向きな考えを示した。

 ただ、国民に対する改憲の発議には、参院でも三分の二以上の賛成が必要。参院は来夏に半数の百二十一議席が改選されるが、改憲勢力が八割超の百議席を得ない限り、三分の二には達しない。

 公明党の山口那津男代表は十六日夜の民放番組で「息の長い議論を提案していると思う」と安倍氏の改憲姿勢をけん制した。 (政治部・古田哲也)