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自公、見えない連携 共通公約なし

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 衆院選の投開票まであと二日。自民党が単独過半数を確保する情勢で、公明党とともに政権を獲得する可能性が高まっている。選挙後の政治はどう動いていくのか。過半数に満たない政党は、どのように自分たちの主張を実現しようとするのか。今後の課題とともに整理する。

■後退

 本紙の衆院選終盤情勢の分析で、過半数の議席を確保する勢いとなっている自民党。安倍晋三総裁は十三日、広島市で街頭演説し「まっとうな経済を取り戻す。できるのは自民党と公明党だ」と政権復帰に力を込めた。自民党は単独で過半数を維持しても公明と連立政権を組む方針。公明党も、自民党との連立で与党返り咲きを目指す。

 自公両党は選挙後の連立では一致するが、どんな政策を行うのか事前の合意はない。両党は二〇〇〇年以降の衆院選で毎回、連立政権を組むことを前提に共通公約をつくり、選挙後の政権の優先政策を示して国民の審判を受けてきた。ところが、今回は野党として選挙に臨んだこともあるが、共通公約はない。民主党に政権を奪われる前の自公政権よりも、後退している。

 そのためか、両党は政策面できしみが見える。自民党が公約に「国防軍」創設を含む改憲を掲げ、公明党が反発するというギクシャクした関係になっている。憲法という基本政策で対立を抱えたまま連立を組めば「野合」批判は避けられない。

■反発

 自公両党が衆院選で過半数を確保して政権復帰しても、参院では過半数に十八議席足りない。安倍氏は十三日の民放番組で公明党以外の党とは「部分連合」を目指す考えを示した。しかし、重要な政策ごとに協力相手を探すことが必要な部分連合では、政権は安定しない。

 安倍氏は民主党との「大連立」は完全否定する。連立相手として名前が挙がるのが、保守的、タカ派的な体質が似ている日本維新の会だ。維新の石原慎太郎代表は自民党から連立の呼び掛けがあった場合「できると思う」と明言。一緒に改憲を目指そうとエールを送っている。

 ただ、維新の参院での議席は三。連立しても政権安定にはつながらない。かえって、改憲に消極的な公明党の反発を招き、逆効果になる可能性もある。

 新党大地の鈴木宗男代表と新党改革の舛添要一代表も連立政権入りに含みを持たせる発言をしている。

 一方、民主党は支持低迷から脱せないまま衆院選終盤を迎えた。本紙の情勢分析では百議席を割り込みかねない。代表の野田佳彦首相は「比較第一党を目指す」と語るが、単独過半数の確保は困難。国民新党から立候補した三人が全員当選しても、両党での政権維持は絶望的な情勢だ。

 首相は「(国民新党に次ぐ)二番目に公明党がいい」と公明党への秋波を送ったこともあるが、現実には難しい。選挙で批判し合った政党が選挙後、連立するのは有権者への裏切りにほかならない。

■共闘

 多くの世論が求める脱原発、反消費税増税はどうなるのか。

 社民党の福島瑞穂党首は「脱原発政権をつくる勢いで頑張りたい」と力を込め、共産党の志位和夫委員長は「消費税増税中止法案を出すなど一点共闘はやっていく」と訴える。日本未来の党も卒原発、反消費税増税を掲げ、嘉田由紀子代表は「協力できるところで協力する」という。

 これらの勢力は多数を得られなくても、政策ごとに力を合わせれば、国会で影響力を発揮することはできる。

 予算を伴わない法案なら、政党が違っても二十一人以上の議員がまとまれば提出できる。脱原発基本法案を再提出することも可能になる。十人以上で院内会派を組めば、首相と野党党首が一対一で議論する党首討論に参加でき、脱原発や消費税増税で政権を追及できる。

 また、五十一人以上集まれば内閣不信任案を提出し、政権を揺さぶる選択肢もある。

(衆院選取材班)