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<敵に聞け>(4) 維新だと超格差社会招く

 「この政党が政権を取ったら、どんな問題が起きるか」とライバル候補に尋ねる「敵に聞け」。最終回は、石原慎太郎代表と橋下徹代表代行が率いる日本維新の会。「弱肉強食」に映る競争重視路線や、原発など重要政策で方針が転換する姿勢に批判が集まった。

◆競争重視 働く貧困層増加

 維新の公約「骨太2013−2016」では、随所に「競争力強化」「徹底した競争」という言葉が登場する。具体的な政策実例で目を引くのは「最低賃金制度の廃止」だ。批判を受けて廃止は「改革」に変えたが、社会的な保障より自助努力を重視する目線は同じだ。

 サラリーマンを長く経験した自民新人、島田佳和さん(三重2区)は「最低賃金の歯止めを無くせば、企業側は当然、賃金を下げる。規律のない雇用条件が生まれていく」と予測する。「経済成長には国民の所得増が必要だが、ワーキングプア(年収二百万円以下の働く貧困層)が増えるだけ。賃金が下がれば物価も下がり、さらなるデフレスパイラルにつながる」と論外と言わんばかりだ。

 橋下さんのお膝元・大阪で貧困問題に取り組む「反貧困ネットワーク」の湯浅誠事務局長(43)が補足する。「現在、ワーキングプアは労働者の24%を占め、保険証がなく医療が受けられない人は三十万人に上る。競争路線を拡大すれば、もっと増えるでしょう。子育ての余裕がなくなり少子化も進み、国内総生産(GDP)も落ち込む。今の日本は総人口の2%弱が総資産の20%を握っているが、さらに米国並みの格差社会になりますよ」

◆政策変遷 特定の人の独断

 石原さんの「太陽の党」と合流する過程で、旧維新が掲げた脱原発、企業・団体献金の廃止、環太平洋連携協定(TPP)推進は、すべてあいまいになった。特に原発政策。橋下さんは関西電力大飯原発の再稼働に当初反対し「原発を争点に選挙で民主政権を倒す」と豪語していた。今は早急な脱原発を「火星に行くような話。できっこない」と批判する。

 日本未来の党を立ち上げた嘉田由紀子滋賀県知事は「原発問題の仲間を失ったのは残念。公の党が一緒になるために、ここまで政策を妥協してしまうと」と失望を口にする。

 民主王国・愛知の県連代表として維新勢力と争う前職の中根康浩さん(愛知12区)は「一夜にして、特定の人の思惑と独断で政策が変わる」と独裁的体質を問題視する。「地域に根ざしていない落下傘候補も多い。小泉チルドレン、小沢チルドレンもそうだったが、国会議員は東京で仕事をしていればいいわけじゃない。当選しても、地元の声を国政に届ける仕事がおろそかになるのでは」とみる。

◆右傾化 自民と組み改憲

 「野合」といわれる維新だが、安全保障面では「ぶれ」がない。公約には集団的自衛権の行使や自衛隊の武器使用基準見直し、防衛費増額などが並ぶ。石原さんは「核兵器に関するシミュレーションぐらいやったらいい」と核武装を見据えた発言をしている。

 平和運動に長年取り組んできた社民新人の平山良平さん(比例東海ブロック)は「維新は選挙後に自民と手を組み、すぐ改憲に着手する」と予測。「国際的不安をあおり、中国と軍拡競争になる。戦後日本の経済発展は、平和があってこそなのに」と危惧する。

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 主義主張を変えることは悪いことではない。東西の古い言葉でも「君子(徳のある人)は豹変(ひょうへん)する」「賢者は考えを変えるが、愚者は決して変えない」という。あとは有権者が、石原さんや橋下さんを「君子」「賢者」と見るかどうかだ。=終わり