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<敵に聞け>(3) 未来では何も実現しない

セリフから身ぶり手ぶりまで腹話術師に操られる白雪姫。嘉田さんと小沢さんの「未来」はこうならないように…

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 ライバルによる政党分析「敵に聞け」の三回目は、公示前の議席数で民主、自民に次ぐ日本未来の党。十年間で計画的に原発をなくす「卒原発」を唱える嘉田由紀子・滋賀県知事を代表に、脱原発を目指す中小政党が結集したが、その実現性に疑問の声が上がる。選挙のたびに暗躍する「あの人」の影もぬぐえない。

◆卒原発 10年は絶対無理

 嘉田さんの地元・滋賀で反発するのは日本維新の会新人、岩永裕貴さん(滋賀4区)。「代替エネルギーの普及が間に合わず、電気代が上がる。今でさえ厳しい中小企業の倒産ラッシュが起きますよ」。未来は対策として、原発停止に伴う値上げ分は政府発行の無利子国債で補う考えだが、「それができても国民の借金が増え、次世代につけを回すだけ。これまでと同じ古い政治」と言い切る。

 国内最多十四基の原発が立地する福井3区では、自民前職の高木毅さんが「十年以内では絶対無理。卒業後の就職先(代替エネルギー)が決まらず、路頭に迷うだけ」と皮肉った。

◆子育て支援 民主の二の舞い

 未来は公約で突然、現金などで子ども一人当たり年間三十一万二千円を支給する政策を発表。二〇〇九年衆院選で民主が目玉とした子ども手当と金額も同じだ。本家・民主は財源不足で半額給付にとどまったのだが…。

 難しさを聞くには経験者が一番。十月まで民主に在籍したみんなの党前職の杉本和巳さん(愛知10区)は「未来の候補者は新人や経験の浅い人が多い。官僚の言いなりになった民主と同じ轍(てつ)を踏むか、それ以下の結果になる」と予想する。財源確保のため省庁へ乗り込んだ大臣ら政務三役の民主議員が、いつしか省益の代弁者になる姿を見てきた。「民主もそうだったが、実現できなくてもすぐ謝罪しないだろうから、余計に世論の信頼を失い、卒原発どころではなくなるでしょうね」

◆「院政」問題 またも小沢支配

 政策より党内体制に疑問符を付ける人は多い。根源は言わずもがな小沢一郎さん。未来での立ち位置を「一兵卒」と公言するが、党首を務めた自由党が民主に合流した際も同じセリフだった。かつての盟友、菅直人元首相は「小沢さんの傀儡(かいらい)でトップに据えられ、うまくいった例は一つもない」と警告する。

 前回衆院選で初当選し、小沢チルドレンともいわれた民主前職の大西健介さん(愛知13区)は「前回の勝利は小沢さんが力強い選挙文化を持ち込んだおかげだが、彼の欠点は『数が権力』との発想」と説明する。

 前回の選挙後、一期生は小沢さんに集められ「君らの仕事は再選を果たすこと。国会より地元を回れ」と指示された。その違和感は今も覚えている。「今回は頭数をそろえるため脱原発に目を付けたが、集まった面々の考えはバラバラ。小沢さんの力で党内運営をすれば、政治不信を招いた民主と同じことになる」

 嘉田さんは「小沢さんを使いこなせずに、官僚を使いこなすことはできない」と豪語する。元時事通信記者で小沢さんを新人時代から知る政治評論家、屋山太郎さんは「実態は嘉田さんという美女の仮面を付けた怪物による支配。彼は脱原発に興味はなく、政権を取って金を握りたいだけ」と切り捨てた。

    ◇

 嘉田さんは「候補者の女性の割合は、未来が一番高いのでは。男女が力を合わせ、卑弥呼の時代に戻るつもりで日本を変えていく」と語る。ただ、女性候補を積極登用するのは小沢さんの典型的手法。嘉田さんは名実ともに「女王」となれるか。