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<敵に聞け>(1) 民主は統率が全くない

 「実行力のある、わが党に一票を」。選挙カーから衆院選の投票を求める声が流れてくる。「信じていいのかね」と首をひねる有権者も多いだろう。そこで逆に「○○党には入れてはいけない」理由を考えたい。語るのはライバル政党の幹部や候補者たち。「敵」だからこそ、見えるものがあるのでは。選挙後の政権の枠組みにかかわりそうな民主、自民、日本未来の党、日本維新の会について順番に聞いていく。

◆<消費増税>減収過ち繰り返し

 初回は政権党の民主。「国民との約束」とうたったマニフェストにない消費税増税法案を自民、公明とともに可決し、実行しようとしている。

 増税の是非といえばこの人の顔が浮かぶ。減税政策を長年訴え、未来の結党にかかわった河村たかし名古屋市長だ。「飢饉(ききん)や災害で庶民が苦しんどる時に年貢を上げるなんて、平安時代や江戸時代でも許されんですよ、これ」。不況が続き、東日本大震災の復興途上での増税を痛烈に批判する。

 一九九七年に消費税を3%から5%に引き上げた後、景気が悪化し税収が落ち込んだことに触れ、「同じ過ちを繰り返すだけですわ」と断じる。

 行政改革を訴えるみんなの党の新人、井出庸生さん(長野3区)は「官僚をコントロールできていない民主では、省庁の分捕り合戦を止めないままの増税となる。無駄な支出を止められませんよ」とくぎを刺す。増税をめぐり民主を離党した未来前職、牧義夫さん(愛知4区)は民自公の協調路線に触れ、「民主は選挙で大敗しても自民と事実上、連立を組もうとする。まだ民主を信じる有権者には、とにかく『自民と一緒でいいんですか』と言いたい」と呼び掛ける。

◆<脱原発>「何もしない」と同じ

 野田佳彦首相は衆院解散後、自民との違いを際立たせようと「二〇三〇年代原発ゼロ」を繰り返す。閣議決定すら見送ったことも忘れたかのように。

 脱原発団体元代表で社民新人の山崎隆敏さん(福井1区)は「原発を稼働四十年で廃炉にすれば、ほっておいても三〇年代末には国内五十基のうち五基以外は廃炉になる。ドイツ並みに廃炉基準を三十年と厳しくもしない。何もしないだけですよ」とばっさり。民主は高速増殖原型炉「もんじゅ」など核燃料サイクル事業は継続しており、「脱原発方針の維持すら怪しい」。

 福井県と隣接する滋賀2区の共産新人、中川睦子さんは、民主は電力系企業の労組から支援を受けており、「原発ゼロに踏み切れない」と冷ややかだ。

◆<TPP交渉参加>策もなく 前のめり

 環太平洋連携協定(TPP)への参加問題では、民主は推進の立場だ。

 第一次産業が盛んな三重5区の自民前職、三ツ矢憲生さんは「米国は穀物、メキシコは豚肉やオレンジ、ニュージーランドは乳製品。各国は日本に農産物などを売ろうと国益を計算してTPPを推進しているのに、民主はただ『平成の開国は必要』と前のめり。具体的な考えは何もない」と手厳しい。「安い食品や製品ばかり輸入されれば値下げ競争が起き、景気がますます悪くなるだけ。特定国に食料を過度に依存し、その国で凶作でも起きれば、日本も混乱しますよ」

 最後に、マニフェストの大半を実現できなかった民主の体質について。元総務省官僚の維新新人、中野正康さん(愛知9区)は「私も官僚の時は民主政権にちゃんとお仕えしたが、党として何を決めるか、どう実行するか統率が全く取れていなかった」と振り返る。「民主は保護主義というか、国民を甘やかしすぎる。よく言えば面倒をみすぎる。最たる例が子ども手当。都合のいいことだけを示す傾向がある」と述べ、政権担当能力に疑問符を付ける。

    ◇

 野田首相は六日に名古屋入りした際、「火の玉となって最後まで訴え続ければ、勝機は出てくる」と見通しを語った。淡々とした口調だが、声はかれ、表情はやや疲れていた。世論調査では民主は大苦戦の予想。火の玉ならぬ「火だるま」状態を打破できるか−。